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ロックの冒険(外伝❶)

ロック、クロウ、テイリーたちは海に向かって飛んでいた。自分たちの故郷に帰るために。
「ねぇテイリー、少し休もうよ。君はウミネコで体が大きいから長く飛べるからいいけど、僕は大変なんだよ。
「分かった、ロック。すぐ近くに林があるから、あの近くで休憩しよう。」
テイリーを先頭に鳥たちは林に向かって降りていった。

林に着き、ロックたちは羽を休めた。今自分たちがどの辺りにいるのか、いつここを出発するかを語っていた。
その時、とても低い声がその場にいた全員に聞こえた。
「おい、お前たち、うるさいぞ。少しは静かにしてくれんか?」
「どこから声がしてるんだ?」ヒヨドリのブルースが言った。
テイリーもブルースもトビのミラン、イソシギのバートン、ロックとクロウもどこから声が聞こえるのか探した。
「ねぇクロウ、あの声はどこから聞こえるの?」
「あっち側の枝の方だと思うが」
ロックたちは、声の主を探したが見つからない。
目の前の太い枝を見ていたクロウが言った。
「あれを見て!」
そこには木の枝の上に、枝に模様に同化して一見すると全く木の一部にしか見えないように、一羽の鳥が休んでいた。
その鳥の羽は、枯れ葉を集めて縫い合わせたような美しい羽だった。

眠っていたその鳥が少しだけ目を開けた。
「わしは昼寝をしとったんじゃ。静かにしてくれんかのう。」
そう言って木の枝にそっくりな鳥は大きなあくびをした。
「お越しちゃってごめんなさい。あなたは?」
「わし?わしはヨタカのジャールじゃ。」
「ジャールさん、僕らはここで少し休憩してるだけでもうすぐしたら、ここから離れるから大丈夫だよ。ジャールさんはここで暮らしてるの?」ロックが聞いた。
「いや、わしらヨタカは冬には南に帰るんじゃ。今はその途中。しかも今は昼じやろ?ヨタカは夜に動き始める。今はお昼寝の時間じゃ。お前たちのせいですっかり目が覚めてしまったわい。」
「ごめんね、ジャールさん」
「まあ、よい。わしも旅の途中。お前たちも旅の途中ってことなら仲間だな。無事に目的地に着くよう祈っとる。」
「ありがとう、ジャールさん。」
「それとな、いいことを教えてあげよう。空にはわしらの星があるんじゃ。夜になったら、カシオペヤ座の近くに赤い星が見える。その星が見れたらわしのことでも思い出すがいい。旅の思い出にな。」

ロックたちはしばらく休憩をしたあと、ヨタカのジャールと別れて海に向かって再び飛び立った。
その日の夜、ロックたちは眠りにつく前に空を見上げた。
ヨタカのジャールが言っていた、カシオペヤ座の近くを眺めていた。
そこにはぼやけた光だが、確かに赤い星が光っていた。いや燃えていると言った方がよかった。
「あれがジャールさんが言ってた『ヨタカの星』だ。」
ロックたちは、しばらくその赤い光を見つめていた。

#小説 #冒険小説 #野鳥

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