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ロックの冒険(24)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

ヤマガラの群れのバリドが、ロックとクロウとシュラーにだんだんと近づいてきた。3人は目をつぶったまま反撃の瞬間を待った。
「今だ!」シュラーが叫んだ。
3人は一斉に枝から飛び出し、周囲を囲んでいるヤマガラたちに噛みつきはじめた。
ロックが1羽のヤマガラと戦っていると、その背後にも別のヤマガラがやってきて、ロックの青い羽をむしろうとする。
ロックは素早く上空へ飛び、今度は上からそのヤマガラをクチバシで攻撃した。
クロウとシュラーも同じように、"目をつぶったまま"ヤマガラの群れであるバリドと戦った。
目をつぶっているので様子は分からないが、周りでは「きゃー」というヤマガラたちの声が聞こえた。
「ロック!クロウ!ヤマガラたちを殺すんじゃないぞ。こいつらは単にミニベットに魔法をかけられてるだけだ。」シュラーが叫んだ。
しばらく戦い、3人は相当な数のバリドに噛みついたと実感した。次第にバリドの気配も消えてしまった。
「もう目を開けていいか?」クロウが聞いた。
「ああ、もういいだろう。」シュラーの返事とともに3人は目を開けた。
そこにはもうバリドの姿はなかった。
「僕たちは勝ったんだね。」
「そうみたいだな。」
3人はほっとしたように、互いに微笑み合った。

東の陣地は、夜になった。3人は木の上からフクロウのローリーを探した。
しばらくすると、暗闇の中に光る2つの目を見つけた。
ローリーだった。
3人はフクロウに近づいた。目の前のローリーは置き物のようにたたずんでいた。
「あなたがフクロウのローリー?」ロックが聞いた。
「いかにもわしがローリーじゃが、お前たちは?イソヒヨドリとハシボソガラスとモズのようじゃが。」
「僕はロック、横にいるのがクロウとシュラーだよ。ローリーにお願いがあって会いたかったんだ。」
「何の用じゃ?」
「女王ミニベットの魔法を解く方法をローリーが知ってると聞いたんだ。教えてほしいんだ。魔法をかけられた鳥たちを救いたいんだ。」
「お前たちがミニベットと戦うというのか?」ローリーが尋ねた。「うーむ。」
「どうしたの?難しいの?」ロックが聞いた。
「ミニベットの魔法を解く方法とはな。大きな、とても大きな"声"が必要なんじゃ。」
「大きな声?」
「そう、とても大きな声が必要じゃ。そして大きな声で一つの言葉を叫ぶんじゃ。」
「一つの言葉?」
「そう、じゃが今は言えん。この森のどこにミニベットの手下が隠れているとも限らんからな。」
「大きな声なら、僕とクロウとシュラーで一斉に叫べばいいんじゃない?」
「ダメじゃ、それでは全然足りん。もっともっと大きな声じゃないとな。」
「オレの声は大きいぞ。」とクロウ
「オレもそうだ。」とシュラーが言った。
「僕たち3人でミニベットと戦ってみるよ。だからローリー、その言葉を教えて!」
「ダメじゃ。その代わりお前たちがミニベットと戦う様子を遠くの樹の上から見ておく。大きな声になりそうなら、その時に魔法を解く言葉をお前たちに教える。
いいか、ミニベットは恐ろしい。十分気をつけるんじゃぞ。」

(次回に続く)

#小説 #冒険小説 #野鳥

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