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ロックの冒険(7)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

「きゃー!」スポッティの驚きと絶望に満ちた叫び声が聞こえた。
スポッティの子どものうち泥に足をとられた一羽がもがいている、その背後に舌舐めずりをしているヘビがいた。

ヘビは今にも子ども遅いかかろうと、紐のような体をS字型に曲げて、じっと子どもを見ていた。
「ロック、その子を足で捕まえて上に持ち上げられるか?」クロウは大声で言いながら、ヘビの前に飛んでいき、黒い羽をばたつかせた。
「おい、ロック!早く!その子を捕まえて飛べ」
クロウはヘビの動きを止めようと必死に羽ばたいている。ヘビはクロウの動きに翻弄されながらも、少しずつ横に移動してスポッティの子どもに近づこうとしていた。

ロックは、子どもを足で捕まえようとしていた。
イソヒヨドリのロックにとってカルガモの雛は重く、捕まえてはみたものの、なかなか飛べない。
「くそー、この子はどっぷり泥ははまってしまっている。」
そうしている間にもヘビは、クロウの動きの隙を見つけて、徐々にロックと子どもに近づいてきた。

「ロック!早く!」クロウが叫んだ。
「うおー!」ロックは叫びながら飛ぼうとした。それでも飛べない。
ヘビが襲ってきた。子どもに噛みつこうと攻撃する。とっさにクロウが体当たりして、ヘビの邪魔をした。
「ロック、早くしろー!」またクロウが叫ぶ。
「うおー、今度こそー!」ロックは翼をめいっぱい羽ばたかせた。
「うおー!」ロックがいつもよりも何倍もの羽ばたきで、子どもが泥から抜け出した。ロックは子どもを捕まえたまま空中へ飛んだ。
「やったぜ、ロック!」
ロックは子どもを捕まえながら、スポッティのいるところまで飛んだ。
「スポッティ、後は頼むよ。」

ヘビはいつのまにかあきらめて、草むらの中に戻っていったらしい。
スポッティは目にいっぱい涙をためながら、子どもに顔を寄せた。
「ロックとクロウ、本当にありがとうね。」
一安心したロックとクロウは、お互いの顔を見ながら自然と笑顔になった。

(次回に続く)

#小説 #冒険小説 #野鳥

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