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ロックの冒険(外伝❷)

ロック、クロウ、テイリーたちは海に向かって飛んでいた。自分たちの故郷に帰るために。
ロックたちは喉が渇いた。水を飲むためにたくさんの水が溜めてある田園地帯へ降りた。
そこには見たことのない美しい2羽の鳥がエサをついばんでいた。
全員がうっとりと眺めていた。
イソシギのバートンが言った。「皆あの鳥を見たことないの?あれはセイタカシギだ。」
「セイタカシギ?確かに背が高いね。」テイリーが感心したように言った。
「ねえ、君たち!」バートンが2羽のセイタカシギに声をかけた。
「なーに?私たちに何かご用?」1羽のセイタカシギがウインクしながらロックたちに返事をした。
「君たち、ここに住んでるの?」今度はロックが聞いた。
「そうよ。あなたたちは?」
「僕たちは海に帰る途中なんだ。ところで君たちは本当に綺麗だね!」
「あら坊や、嬉しいことを言ってくれるのね。私たちはこの長い足が自慢なのよ。どう綺麗でしょ?」
セイタカシギの赤くて長い足はすらりと伸びて確かに美しかった。
「それにその真っ黒な羽も綺麗だなー。それに比べて僕の羽は地味な色をしてるなー。」ヒヨドリのブルースが言った。
「あらっ?そうあなたのその茶色いほっぺも素敵よ。」
セイタカシギは流し目でブルースの方を見た。
「君たちの名前は?」テイリーが聞いた。
「私はカトリン、横にいるのはユリア。私たち姉妹なの。」
「そうなんだ。」ロックが言った。
「坊や、そんなに私の足をじろじろ見るんじゃないわよ。」カトリンが言った。
ロックは恥ずかしさです顔が真っ赤になった。

「坊やたちは、いつまでここにいるの?」今度はユリアが聞いた。
「ここで水を飲んで休んだら海に向かう予定。」
「そうなの?気をつけてね。だけど坊やたちが羨ましいわ。」
「どうして?」
「みんなが私たちの赤くて長い足が綺麗とか、羽が綺麗とか言ってくれるわ。だけど私たちはずっとここの田園で生きていてあまり外の世界を知らないのよ。友だちもあんまりいないしね。
あなたたちは見た感じ、とても仲が良さそうね。
私たちは別に綺麗だなんて言ってもらわなくてもいいの。
あなたたちのように、仲のいいお友だちがほしいだけ。
だって、どの鳥も私たちを見て綺麗って言ってくれて親切にしてくれるけど、本当に私たちのことを分かってくれるか、皆心を開いてくれないような気がするの。」カトリンが寂しそうに言った。

「ねえ、カトリンさんとユリアさん!」ロックが言った。
「僕たちは君たちと友だちになれると思うよ。僕たちは君たちの足や羽以外のもの、そういつも君たちが考えてることや大切にしてることを分かりたいと思う事。」
「まぁ坊や、ありがとう。だけど坊やたちはもうすぐ海に行くんでしょ?」
「心配しないで。ここの田園なら頑張れば飛んでこれる距離さ。時々カトリンさんとユリアさんと話をしに来るよ。いいでしょ?」
「嬉しいわ。待ってるわね!ところで坊やの名前は?」
「僕はロック、イソヒヨドリだよ。」
「ロック、覚えておくわ!またこの田園に遊びに来てちょうだいね。」ユリアが言った。
「ロック、もっとあなたとお話したいわ。」今度はカトリンが言った。
ロックたちはしばらくしてから飛び立っていった。田園にはカトリンとユリアの美しいシルエットが水に映っていた。

#小説 #冒険小説 #野鳥

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