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【Covid Quarantine Birding <アリスイ>】

 縁起の悪い言い伝えのことを「ジンクス」と言いますよね。
このジンクスの語源になってる鳥が、写真のアリスイです。ギリシア語でアリスイのことを「イユンクス」と言います。そう、古代ヨーロッパではアリスイは「不吉な鳥」「邪悪な魔力を持った鳥」と思われていました。

アリスイはどうしてこんな恐ろしいイメージの鳥だと思われていたのか?それは英語名で分かります。Wryneck(曲がった首)がアリスイの英語名です。
アリスイは首を左右に動かすという奇妙な動作をします。首を180度回して真後ろに向けることができます。普通鳥はこんな動きはしません。ではなぜアリスイはそんな動作をするのか?
実はアリスイは「ヘビのマネをしている」のです。体の模様もヘビの擬態。
生物が擬態する主な理由は「外敵から身を守る」ためです。そして進化の過程でアリスイが獲得した生存戦略は"ヘビの擬態"で「俺はヘビだぞ、近寄るな!」と敵の目をごまかすことでした。
ご存知の方も多いと思いますが、アリスイはキツツキの仲間。他のキツツキ類と同じく「筋肉がついた長く柔軟な首」を持っています。他のキツツキ類がその丈夫な首の筋肉を、木に穴を作ったり、エサを食べたりするために使うのに対して、アリスイは身に危険が迫ったときにヘビのマネをする、という別の目的のために使うのです。
ちなみに日本語名のアリスイは、その名のとおり「蟻を吸う」意味です。長い舌を出して蟻を食べます。

そんなアリスイですが、写真のように意外と可愛い顔をしています。ユーラシア大陸全般とアフリカ大陸に生息しますが、近年その個体数の減少が懸念されています。
林の中や都市公園で貴重なアリスイを見つけたらむしろラッキー。僕たちはアリスイが生息できるような自然を大切に保全して、不吉な鳥ではなく、むしろ「幸運の鳥」と位置づけてあげられたらと思います。

#バードウォッチング  #アリスイ #野鳥

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