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ロックの冒険(13)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

ロックとクロウはしばらく河原に向かって飛んでいった。飛びながらバートンを探した。
河原から少し陸地に入り込んだ窪みみたいな場所があり、そこにイソシギがいた。
それはバートンだった。リズが言うようにとてもハンサムなイソシギだった。

「君はバートン?」ロックが聞いてみた。
「ああそうだが、君たちは?」バートンが聞いた。
「僕はロックで横にいるのが友だちのクロウ。リズの知り合いなんだ。」
「リズの?」
「そうだよ。」
「もうリズの話はしなくていいよ。彼女は僕のことを必要としてないんだ。」
そう言ってバートンはため息をついた。
「ねぇバートン、今でもリズのことが好き?」
「当たり前だよ。今でも一番大切にしたい女性だよ。だけどリズはどうやら僕が必要じゃないらしい。」
バートンは悲しげな表情を浮かべた。

「バートン、実はね、、」とロックはリズから聞いた話をバートンに説明した。
聞き終わったバートンは言った。
「そんなことで、、僕は彼女の足の指のことなんか気にしちゃいないのに。なんてことだ。」
「リズはとっても気にしているんだよ。」
バートンが聞いた「それでリズは今どうしてるんだ?」
「ずっと泣いてたよ。」
「そうか。君たち、よく伝えてくれた。すぐにリズの方へ行ってみるよ。君たちも一緒に来てくれるよね。案内してくれ。」

ロックとクロウはバートンを伴ってリズの方へ飛んでいった。
リズは元いた場所にいた。相変わらず目を腫らして立ち尽くしていた。指の無い右足が痛々しかった。
3人はリズの元に降り立った。
「おい、リズ!」バートンが叫んだ。
「リズ、僕が君の足のことなんか気にするとでも思ったのか?」
「だって、バートン、、、」
「さあ、そんな馬鹿な考えはおよし。リズ、僕には君が必要なんだ。大事にしたいんだ。ずっと一緒にいようよ。なぁリズ、いいだろ?」
リズは笑顔になってバートンを見つめていた。
その時だった。バートンは自分の左足を指の無いリズの足に重ねた。
リズの右足とバートンの左足が重なり、するとまるで指の無いリズの足に指が蘇ったように見えた。それはバートンの左足の指で作られた指だった。
「リズ、君に足りないものは僕が満たしてあげるから、さあ涙をふいて。そして僕とずっと一緒にいてくれよ。」
リズは恥ずかしそうにうなずいた。

ロックとクロウは、バートンとリズの元から気付かれないように、そっと離れた。
「お幸せに!」ロックは遠目に見ながら心の中でそう言った。

(次回に続く)

#小説 #冒険小説 #野鳥

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