予約電話

某市に国の特別記念物の認定待ちなのではないかと思われる国内でも希少な狸と犬をクリームなどで形どったケーキがなんとも可愛らしく存在することを知り居ても立っても居られなくなった。ので、ので、まあまあな数が欲しい為に予約電話をした。

「○月☓日に、狸が6個、犬が7個を予約お願いします」
「あー、はいはい、狸が6個、犬が7個ですね(ご年配のおじい様の声)」
「はい、そうです、〇〇です(名を名乗りながら)」
「では、お電話番号をお願いします」
「はい、123-4567です」
「あーはい、789-1234ですね」
「あ、いいえ、123-4567です」
「あーごめんなさいね、891-0123ですね」
「あ、ちがいます、123の」
「あーわかりました、予約ですね、ありがとうございました(ガチャン)」

受け取りに行くと果たせるかな「あー予約の人ね」

つぶらなひとみの各々トボけた表情の狸や犬たちがきちんと箱の中で待ってくれていたのだった。

多分、電話のやり取りを聞いてくれて自ら箱の中に1列に並んで入って行ってくれたのだろう。

素朴な甘さの、小さな頃に夢に見たような懐かしい甘さの。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?