見出し画像

ルーツに纏わるインタビュー vol.1

僕の友人、知人がどの様な経緯で今聴いている/演奏している音楽に出会ったのかを知りたくて行いました。
今回はinthenaMEoflove, Leburtaというバンドや芯空館というレーベル、Speak For MagでZINEを発行している深井氏に話を伺いました。

https://note.mu/secretmethod/n/n1f3138b94dac

上記音声データが当日の内容です。
以下が後日メールにて追加インタビューした内容とインタビュー中に出てきた音源やバンドのレビューです。

”追加インタビュー”

---Nirvanaを知って以降の音源を買う指針にしていたワードを他にも幾つか教えてください。
併せてその指針としていたワードでの思い出深い体験談も教えてください。

(深井氏)
インタビュー中に触れた「Steve Albini」というキーワードの他には、「グランジ」「オルタナティヴ」「ノイズ」「轟音」というワードをひたすら追いました。音楽誌や店頭でそれらのワードを見つけると、とにかく片っ端から聴きました。実際にはアメリカンロックやブリットポップ、パンクやハードコアバンドにも「グランジ」なんてコメントを付けていて、まんまと騙されて相当な枚数を買いました。業界やレコ屋も売るためとはいえ、かなり悪質だったと思います。
しかし、そのことがきっかけで自分の音楽的許容範囲が広がったことは確かです。今となっては、前向きに捉えています。

---上記の質問に近しいですが、普段ジャケ買いをする時何かポイントがあれば教えてください。

(深井氏)
普段のジャケ買いのテーマは「90年代感」です。レコード・CD共通で、単色・手刷り・ハンドメイド・風景写真・下手なイラストなどなど。感性で「これだ」というものに日々挑戦しています。金額については、100円~1000円まで。セールコーナーは大好きで、よくジャケ買いしています。たまに気が大きい時は2000円以上でも買ったりします。今までのジャケ買いで「イマイチ」ということはあっても「大失敗」はほとんど無いです。許容範囲が広いので。

---今回持ってきていただいた音源は3種類(Cassette, Vinyl, CD)で所有されていましたが、他にはどう言った作品で複数所有されているか、どういう基準で複数所有しているか教えてください。

(深井氏)
特にお気入りのアルバムは、内容はもちろん、モノとしてジャケットのアートワークを所有したくなります。レコードでは、サイズのボリューム感・デザイン違い・ゲートフォールド・カラー盤など、CDとはまた違った魅力があります。カセットテープでは、フォーマット独自の縦長デザインが好きです。
学生時代(90年代)にメインで使用していたフォーマットで、当時の様々なバンドのデモもカセットテープでした。ともに青春時代を過ごしたので、愛着があります。でもどちらが、というよりはどちらも、好きです。自宅のオーディオ環境は 高音質では無いので、各フォーマットの音質の差はあまり重要ではありません。やはり劣化のリスクが少ないため、CDで聴くことが多いですが。

”ディスクレビュー”

Nirvana/In Utero(Geffein, 1993)

最初の印象は最悪。何かが壊れているのかと思うくらいの音質の粗さで、ピーピーガーガーとノイズまみれ。ですが、メロディがとにかくポップでキャッチー。ギター1本でも弾き語りが可能なソングライティングは、後のMTVアンプラグドでも証明されました。

My Bloody Valentine/Loveless(High Fader, 1991)

今ではシューゲイザーというジャンルの象徴とも言うべき、男女混合(混声)の4人組。「グランジ」「ノイズ」等のキーワードを追う中で初めて聴きました。ほぼミドルテンポで起伏の無い曲調とムニャムニャした歌の良さがわからず、暫くは“買って失敗だったコーナー”に入っていました…。
その後、Jesus Jonesのリズム感、Lushの浮遊感、Miranda Sex Gardenのアバンギャルドなノイズ等を聴くうち、より極端な音を求めるようになり、行き着いたらそこは入り口だった、のようにマイブラに戻ってきました。
やはりギターノイズは影響を受け、どのようにしたらこんな音になるのかと、高校時代は軽音楽部の部室(正確には視聴覚室)でフィードバックノイズを出す練習(実験)をしたり。端から聴くとただの騒音だったようで、斜向かいの職員室から「何をやっているのか」「うるさくてたまらない」と苦情が出ることも。先生方には大変ご迷惑をお掛けしました。

Failure/Fantastic Planet(Warner Bros, 1996)

Steve Albiniの関わった作品(1st、2nd)としてFAILUREを知りましたが、グランジというよりも地味なStone Temple Pilotsという印象で、当時はあまりピンと来なかったです。ブームとしてのグランジの喧騒が過ぎ去った後、カンサス系のエモ(Shiner、Season To Risk等)を聴く中で同様の音像を感じ、暫く経って棚から引っ張り出しあらためて聴くようになりました。聴き直すと、1992年リリースの1stの時点で既に独自の音楽性が確立されていたことに気付きました。特にワーナーからリリースのこの盤(3rd)は洗練されていて聴きやすく、ヘヴィなオルタナ/エモサウンドの代表的な作品としてオススメです。
今作以降、Depeche Modeのカバー曲(トリビュート盤に収録)を録音して解散しますが、2006年にParamoreが「stuck on you」(3rdに収録)をカバーしたことで、アメリカの若者を中心に再評価されたのではないかと推測しています。そしてFailureは数年前から活動を再開し新作もリリース。まさかの来日もあり得るのではないかと期待しています。

Quicksand/Manic Compression(Island, 1995)

Gorilla Biscuits〜Quicksand〜Rival Schoolsという流れの中、ウォルターのギタリスト(そしてヴォーカリスト)としての音楽性の変遷は、一言で「早すぎた」という印象。常に流行とは一線を画し、リアルタイムでは音楽性を伝える言葉が確立しておらず、当時のメディアも迷走(日本盤の帯のコメントにはメロコアと書かれていました)していたような気がします。自分はHelmetの関連バンドとしてQuicksandの名を知った為、ウォルターがGorilla Biscuitsのメンバーであったことは後で知りました。まず耳が反応したのはリフとリズムワーク。
グランジ?メタル?ハードコア?
いや、その全てが含まれたハイブリッドなサウンド。そして、かすれ声でパンキッシュに吐き捨てるようにメロディを歌うボーカル。The Smithsのカバー曲(1stのLP盤のみ収録)が存在し、そのことから幅広いバックグラウンドがあることも感じさせます。グランジブーム以降、初めて聴く刺激的な音楽に夢中になるも、エモムーブメント到来前には解散。
その後、ウォルターはRival Schools、もうひとりのギタリストのトムはHandsome、ドラムのアランはSeaweedにてキャリアを重ねます。
彼らが残した作品はどれも傑作なので、今こそ掘り起こして再評価されることを願います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?