藤枝MYFCにハマった

きっかけは2022ワールドカップ。
僕は静岡県で生まれ育った男子として最低限のサッカー知識を持ちながら、清水エスパルスにもジュビロ磐田にもサポーターになることなく思春期を過ごし、ワールドカップのときにだけ騒ぐ典型的なニワカファンとしてサッカーに触れ合ってきました。
しかし、今回のワールドカップは日本対スペイン戦が非常に盛り上がったことやAbemaで全試合完全生中継されていたこと、そして何より試合の面白さに魅了され、いつしかどっぷりとサッカー漬けになる毎日を楽しんでいったのです。
その中でも、やはり決勝戦のアルゼンチン対フランスは素人目に見ても後世語り継がれるであろう名試合で、「この先もサッカーを観続けたい!」と強く想うほど感動するものでした。


それだけサッカー熱が高まった僕が懸念したのは『熱の醒め方』です。
ワールドカップ終了後ほとんどのサッカーイベントは終わりを迎えていたため、自分自身の興味をどこまで持続出来るか不安でした。
そのとき大きく力を貸してくれたのがアニメや漫画、YouTubeなどのサッカーコンテンツ。
そして、藤枝MYFCの存在です。
「今まで何処か遠くの世界のことに感じていたプロサッカーチームが地元にある。」
「今年J3からJ2に昇格したばかり」
「『劇場型超攻撃的サッカー』というとてつもないスローガンを掲げている」
そのどれもが僕の心をくすぐり、春のJリーグ開幕を待ち侘びました。


待ちに待った開幕戦は2-0で藤枝MYFCの勝利。
細かいことは何も分かりませんが、とにかく興奮するプレーの連続で単純に楽しかったことを覚えています。
スタジアムのお祭りのような雰囲気やアウェイチームサポーターの熱量など、そのすべてが非現実的で「またスタジアムに来たい!」と強く思い、帰路に着くシャトルバスの中では既に次の試合を待ち焦がれていました。

そんなワクワクとした僕の心に強烈過ぎるインパクトを残した東京ヴェルディ戦。
ビジターゴール裏のチケットが完売になるほどに詰め掛けた東京ヴェルディサポーターの圧力。
選手の強靭なフィジカル。
さらに、藤枝MYFCのミスを徹底的に逃さないスキルの高さ。
その姿は、まさに僕が小学生の頃、『絶対王者』として君臨していた姿そのものでした。


「あー、やっぱり強いなあ」
藤枝MYFCを応援する気持ちはもちろんありますが、どこか諦めにも似た尊敬の感情が生まれてしまうほどに大量失点を重ねて気が付けば0-5。
いわゆる、『圧倒的大敗』。
選手やチームが次の試合に備えたり、全力のプレーをすることを控えても無理はありません。

そんな中でも、藤枝MYFCは手を抜くことはありませんでした。
特に、榎本選手がフィールドを顔を歪ませながら疾走する姿が忘れられません。
最大でも5,000人収容規模の小さなスタジアムだからこそ気付けたことかもしれませんが、そこで目撃したのは『生活や人生を懸けてサッカーをしている人たちがいる』という事実。
僕にとってそれは本当に衝撃的な体験でした。
プロスポーツとしてそれは当たり前のことですが、その『当たり前』をこんなにもダイレクトに伝えてくれるチームの姿に強く心を打たれたのです。

そして、それと同じかそれ以上に衝撃だったのがサポーターの方々が持つ応援の姿勢です。
試合終了後、ゴール裏のサポーターの前に現れた選手を迎えたのは何と全力の『MYFCコール』。
サッカーサポーターは不甲斐ない結果には愛情表現としてブーイングで応えるのが当たり前だと今までの僕は思っていましたし、その日の結果だけ見たらブーイングで出迎えられても仕方ありません。
しかし、MYFCサポーターは熱い声援で選手を鼓舞することを選んだのです。
その他にも、試合前に行われる相手チームへのコールや相手選手への拍手など、そのどれもがサッカーチームサポーターとして『異質』で、その異質さが光り輝いて見えました。

「藤枝MYFCのサッカーは面白い」
という意見を聞く日は少なくありませんし、僕も素人ながらそう思います。
同時に、サポーターの方々の前向きな姿勢がそれを支えているとも思います。
いつの日か藤枝MYFCの試合でもブーイングで選手を迎えるところを目の当たりにする時が来るのかもしれません。
ですが、あの日観た光景が色褪せない限り、僕は藤枝MYFCを応援することでしょう。

これからもよろしくお願いします。

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