透き通る美声と、ピアノのものかなしさ ――Akira Kosemura「虹の彼方 feat. lasah」(2013)

2013年11月にシングルとしてリリースした楽曲のMV。 http://schole.shop-pro.jp/?pid=65328231  lasahというニコニコ出身の歌い手のことは知っていて、なんとなく聴いてみようかと思い聴いてみたらドカンとやられた感じの一曲。ニコニコの歌い手らしいかわいらしさとかうまく似せようとした声ではなく、はじめからわたしの声はこうであると個性を明確にしているところがそのクオリティの高さと相まって一線を画している。そのゆえんについては、この動画を見たあとでlashaのbiographyを調べて納得した。 曲を作ったAkira KosemuraはSCHOLEというレーベルを主宰するピアニストであり、作曲家、演奏家とでも言えばいいのかな。85年生まれとまだ若いがゼロ年代後半から方々で活躍しているらしい。あとで気づいたがやなぎなぎのファーストアルバムに入っている「トランスルーセント」の作曲は彼だったようだ。彼のインストの曲をようつべでいくつか聴いてみたが、歌ものは歌ものとしてきちんと整えて作ってきているところがらしさだろうと思う。歌がない場合の自由度とは違う音楽の自由を教えてくれるような、そんな感じ。鳴っている音は多彩で、lasahの高くささやくような声を後ろからしっかりと支えているのが心強い。間奏で鳴り響くピアノがものかなしさは、「虹の彼方」が彩る世界のはかなさの象徴でもあるのだろう。 終止幻想的に進行していくMVはどこかにあるかもしれない「彼方」まで本当に連れていってくれそうだ。7分を超える長尺だが、最後までじっくりと聴き入ることができる。

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