見出し画像

海水浴シーズンを間近に控え、海辺の事故が減らない現状を書いた記事が東洋経済オンラインで掲載された。

今回は、主に、ライフセーバーの飯沼誠司さんを取材させてもらいながら、水難事故の問題のうち、海水浴客の事故の部分を切り取って記事にしている。

もちろん、誰も海辺の事故が自分の身の回りで起きるなんて思っていないだろう。だからこそ、もしこの夏に海水浴にいくことを検討している方には、この記事を読んでいただけたら嬉しい。

全ての人にスポーツの価値はあるのか?

今回の記事は、僕にとって、今後の活動に向けてとても大きな意味を持つものだった。僕は、東京オリンピックを前に「スポーツの価値を社会に伝える」「スポーツをスポーツから遠い人たちに届ける」ということを大切にして取材・執筆活動を続けてきた。その考えは今も変わらない。

一方で、スポーツに興味がない人に、「スポーツってすごい」「アスリートってすごい」って言ったところで、なんの意味もないことも痛感してきた。なぜなら、そのような人たちにとって、スポーツは必要ないものだからだ。

実際、精神疾患を患って、自宅に引きこもっている人に話を聞いたことがあるのだが、そのような人に「スポーツをやればストレス発散になるよ」「健康にいいよ」と言ったところで、全くの無駄だと言う。

なぜなら、彼らは動く気力すらないから引きこもっているのであり、動くことができない彼らにとって、スポーツほど煩わしいものはないからだ。

また、オリンピックを目前にし、スポーツの記事がこれだけ世の中に溢れている状況に、うんざりしている読者もいるのだろう。実際、スポーツ記事のアクセス数は伸びず、媒体によってはスポーツ関連の記事は縮小傾向にあると感じる。

ライフセービングに興味を持ったワケ

そこで僕が着目したのは、「Beyond Sports」、つまり、スポーツを超えたスポーツの活動だった。スポーツが社会に役立つ力があることが伝えられれば、スポーツが必要ない人にも、スポーツを身近なものと感じてもらえるのではないかと考えた。

そして、スポーツを超えたスポーツの活動こそ、ライフセービングだと感じたのだ。

ライフセービング競技に人生を捧げるライフセーバーたちは、その競技力を人命救助の最前線で活用しているという点で、社会との接点が大きい競技だと言える。まさに、スポーツを超えたスポーツ活動だ。1秒でも早くゴールを目指したその先に、救うべき人の命がある。こんな競技は、他にはないだろう。

僕は、海辺で起こりうる事故を未然に防ぎ、万が一の時には迅速に対応する能力を持つライフセーバーのことを知ってもらい、さらにこの記事を通じで、海辺の事故を少しでも減らすことができたら、この記事がスポーツの価値を高め、さらにこの記事自体にも新たな価値が生まれると考え、飯沼誠司氏を取材させてもらうことにしたのだ。

社会に対して何ができるか?

今回、東洋経済オンラインで記事を掲載していただいたが、元々は、インターネット界の大手媒体(ここでは便宜上、A社とする)で、この企画は進んでいた。A社の担当者と打ち合わせをしながら、企画書を作成し、実際担当者にはその社会的価値を感じてもらっていたはずだが、結果的にこの企画は通らず。「夏の一時的な情報であるため」というのが理由だった。

だが、僕は、A社で通らなくても、この企画は、東洋経済オンラインで出すことになるんじゃないかと思っていた。なぜだかはわからないが、そう思っていた。そして、企画書を作成しているうちに、水難事故が減っていないという社会問題に対して、注意喚起をしなければならないという使命感のようなものが、自分の中で大きくなっていくのを感じていた。

すぐさまに東洋経済オンラインの編集部を訪れ、この企画の話をすると、優秀な編集者はすぐにこの社会的な意義を感じ取ってくれた。そして、テーマを絞ることで、読者にわかりやすく伝えるために、今回は、海水浴場で起きる事故のことに絞って記事を書くことになった。

実は、海辺の事故は、他にもたくさんある。近年問題になっているプレジャーボートや水上オートバイなどの船舶海難、釣りやスクーバダイビング・シュノーケル、SUPなどのマリンレジャーに関する事故など、様々だ。

僕は今回の取材を通じて、スポーツに限らず、自分が伝えるべきだと感じたことを今後も伝えていこうと思えるようになった。

結果的に東洋経済オンラインで書いた記事にどれだけの価値があったかは今もわからないが、少なくとも、SNSではそれなりに拡散され、海辺の事故への関心の高さを感じることができたのは大きな収穫だ。(SNSのシェアランキングでは東洋経済オンラインの記事の中で4位まで上がっている。2019年7月13日6時現在)

僕の中で起きた変化が、今後の取材活動にどんな好影響を及ぼしていくのか。自分自身の変化を楽しみながら、取材・執筆活動を続けていきたい。

瀬川泰祐の記事を気にかけていただき、どうもありがとうございます。いただいたサポートは、今後の取材や執筆に活用させていただき、さらによい記事を生み出していけたらと思います。