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先日、ヴァンフォーレ甲府などで活躍した元Jリーガーの長谷川太郎さんとお会いしたときに、「ハッ」とさせられる話を伺った。

「僕は試合に出るために、監督に合わせてプレーしていた。でもそれだけじゃ、監督が変わるたびに、毎回ゼロに戻っていることに気づいた」

ゼロに戻るという感覚は、「評価を受ける」自分の立場をイメージすると分かりやすい。サッカー選手なら、監督やコーチ、強化部長らが選手を評価する。サラリーマンなら、直属の上長や人事部門が自分を評価する。

僕の場合、記事を書けば、読者が記事を、そして書いた僕を評価する。毎回のように嫌でもアクセス数や、いいねやシェア・リツイートの数が数字で現れてしまう。これは別に悪いことではないと私は思う。むしろ、記事の客観的な指標として、重要な値がわかりやすく数値化されるのだから、歓迎されるべきことだ。でも、前回書いた記事のアクセス数が良くても、次のアクセス数に繋がらないことが僕にとっての、いや、多くのライターにとっての課題だろう。

逆に、ごく稀にだが、取材したアスリートの方から「瀬川に書いてもらった記事です」ってご紹介いただいた時に、その方のファンや読者の方々から、直接メッセージをいただくことがあった。「○○さんの記事を書いてくれてありがとう」「また瀬川さんが書く記事を楽しみにしてます」などというメッセージと共に、SNSでフォローしましたと連絡をいただいたこともある。

たくさんの情報にあふれ、情報消費が激しいこの時代に、誰が書いたか、を気にする読者はほとんどいない。でも、こんなメッセージをいただくと、自分の執筆活動も、取材対象として紹介させてもらった人と共に、一緒になって積み上がっているのかなと思わせてもらえる。

実は、この積み上げが出来るかどうかは、僕のような名もなきライターにとっては非常に重要なことで、これができないと、いつまでたっても、取材対象者のコンテンツ価値に頼って、アクセス数という評価に怯えなければならない。

だからこそ、これからも、薄皮を一枚一枚重ねるように、信頼を積み重ね、応援してもらえるような人間になるしかないのだ。


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瀬川泰祐の記事を気にかけていただき、どうもありがとうございます。いただいたサポートは、今後の取材や執筆に活用させていただき、さらによい記事を生み出していけたらと思います。