スポーツと政治の問題に立ち向かったアスリート 東俊介

「中東の笛」

僕は、恥ずかしながら、この言葉は、主にサッカー界で使われる言葉であり、サッカーの国際試合でアラブ諸国に有利な判定を下される行為のことだと思っていた。

ある日、ハンドボール日本代表の東俊介さんと食事をした時、彼の口から出てきた「中東の笛」という言葉に少し驚いてしまった。

なんでも、東俊介さんは現役時代、日本代表として人生をかけて挑んだ戦いが、中東の笛によって台無しにされ、どん底に叩き落とされた経験があるというのだ。さらに、絶望から立ち直ってからも、応援団長として日本ハンドボール界のために、中東の笛と戦ったと。

ハンドボール界でも中東の笛があるということを初めて知ったのだが、色々調べて行くと、どうも、「中東の笛」と言う言葉が日本で一般化したのは、特に2007年および2008年に行われた北京オリンピックのハンドボールの予選からだったようだ。

スポーツライターのくせにそんなことも知らなかったのかよ、と言われてしまいそうだが、事実知らなかったのだから仕方ない。

もうじき、サッカー界もアジアカップが始まり、「中東の笛」という言葉がメディアやSNSで踊るかもしれない。そんなことを感じながら、僕の興味は、一気に当時のハンドボール界に、東俊介の選手時代にタイムスリップした。


取材の話は、2005年1月にフランス・パリで行われたハンドボール世界大会の最終選考合宿のエピソードから始まる。

僕は、サッカー日本代表が始めてワールドカップに挑む数日前に、当時のエースだったカズと北澤がメンバーから外れ、合宿地であるスイスから帰国した様子が報道された時の衝撃を今でも忘れていない。

東俊介もカズや北澤らと同じ状況を味わっていた。僕の脳裏には、勝手な想像で作り上げられた、東俊介メンバー落選の映像が流れていた。

前編

後編


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瀬川 泰祐

ライター。東洋経済オンラインやITメディアビジネスオンライン、OCEANS、キングギアなどで執筆中。スポーツ・アスリート交流会も主催する。最近の取材テーマは「Beyond Sports」。スポーツと社会の接点からスポーツの価値を探っている。

美しきアスリートたちの人生模様

東洋経済オンラインやOCEANS、AlpenGroupMagazine、キングギア などの媒体に寄稿しているスポーツライター、瀬川泰祐が取材活動や、日々の執筆活動の中で感じたアスリートたちの人生
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