ガチのぶつかり合いで生まれる熱
「今の文章では読者を置いてきぼりにしている。このままの文章ならむしろ他の媒体に出した方が良い」
ある原稿を入稿した時に、編集担当者が僕に言ってくれた言葉だ。
また、別の原稿では、
「いま〇〇が世間の話題になっているのに、そのことを書かない理由がわからない」
などと指摘されることもある。
執筆活動をしていると、時として、周りが見えなくなることがある。僕自身の「伝えたい」が先行しすぎてしまうためだろう。
原稿を入稿する時、僕が盲目的に最高傑作だと思い込み、自信を持って入稿した初稿が、時には大きく形を変えて公開されることがある。
冒頭の指摘をもらうと、まるで往復ビンタを喰らったような衝撃を受けるのだが、冷静になって記事を読み返してみると、その指摘は、全くもって理にかなっており、ぐうの音も出ない。
その後、僕が編集者を黙らせるべく、さらに熱を上げて修正原稿を作り上げるのは、もちろん言うまでもない。その結果、熱量のあるぶつかり合いが、作品をより高みに押し上げてくれるのだ。
このように、冷静に全体を見渡し、読者目線を大切にしつつも、ライターの熱意や取材対象者の想いを汲み取る漢気まで併せ持った編集者の存在は、僕にとって非常にありがたい。優秀な編集者のお陰で、毎回のように高い意識で執筆出来る。
編集者とぶつかり合う。
この作業を経て世に出た記事は、まるで我が子のように愛おしい。その記事がどんな反響を生み出すのか、どんな共感が得られるのか、本当に楽しみでしかたがない。だから、執筆活動はやめられないのだ。
瀬川泰祐の記事を気にかけていただき、どうもありがとうございます。いただいたサポートは、今後の取材や執筆に活用させていただき、さらによい記事を生み出していけたらと思います。