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【トレード予備知識】情報ヒエラルキーと情報分析

前回のノートでは、これから「トレードを始めようか」「トレードを続けようか」と迷っている人向けに「なぜトレードをするのか」ということを中心に書きました。

今回は、トレードを始める(トレードを続ける)ことを決めた人向けに、「トレードを始める前に必要な予備知識」を中心に書いていきます。
予備知識のノートはしばらく続くので、トレード経験者はおさらいと思って見て頂ければ幸いです。


市場の情報ヒエラルキー

 ここでは、トレードをしている人を「市場参加者」という言葉で表します。市場参加者には、我々のような「個人投資家(大衆トレーダー)」や、個人投資家から集めたお金を運用している「機関投資家」、株を発行している会社や仮想通貨を運用している立場にある「内部者」など、様々な立場の人たちが含まれています。ここでは、市場の情報を私達より早く得ることができる「情報メディア」も、市場参加者に含めてお話しします。

では、以下の図を見てください。

 トレードは、単純に買うか売るかの2択なので、一見フェアなイメージが有るかも知れませんが、そこだけを見ていたら、ただのギャンブルと変わりありません。買うべきか売るべきか、この先の値動きを事前に知っていれば、そもそもギャンブルをする必要はありません。要は情報の質と速度が命です。

 しかし現実の市場参加者は、立場によって得られる情報の質と速度に圧倒的な差があります。では、それぞれの階層について、上から順に説明していきます。

内部者(関係者)
 政治的判断や、会社の経営に関わる判断など、市場に直接影響を与えることができる立場にある階層です。トランプ大統領は自身のTwitterで政治的な発言をし、それが影響して株式指数や為替が上がったり下がったりしています。この急激な値動きを「トランプショック」などと言ったりします。他にもFRB議長や、我が国日本の総理大臣や官房長官、日銀の総裁の発言も、市場に大きな影響を与えます。

 この立場にいる人やその側近達は、最も値動きを支配しやすい立場にあり、ピラミッドの頂点に属しています。当然、この階層に属している人が最も「勝ち組み」になりやすいです。

(情報が公開される前に内部者が取引きすることを「インサイダー取引」といい、これは「公正さ」を損なうため法律で制限されています。しかし、チャートの動きを見ていると、それが建前であることは多くのトレーダーが感じていると思います・・・)

機関投資家
 個人投資家とは比べものにならない莫大な資本を動かしており、その資本で個人投資家より値動きを支配しやすい立場にある団体です。中にはピラミッドの頂点やその側近に人脈を持っているところもあります。アメリカ ニューヨークの「ウォール街」は、多くの機関投資家が集まる街で有名です。

情報メディア
 内部関係者や機関投資家の情報をキャッチしている立場にある階層です。
また、事故・事件などの突発的なニュースは、誰よりも早く情報を得る事ができます。

個人投資家(大衆トレーダー)
 情報ヒエラルキーの末端に位置し、最も情報の伝達速度が遅い階層になります。このノートを見ている人や私が属している階層です。
情報を得るためには、上位のヒエラルキーから降りてくる情報を口を開けて待つほかありません。

 SNSが普及していることもあり、いち早く情報を得られるという人も中にはいます。ただし、情報の質は安定しておらず、判断が非常に難しいです。

 前のノートで「勝ち組み」と「負け組み」の話しをしましたが、ピラミッドの上に行くほど有利であり、下に行くほど不利にあります。
お気づきかと思いますが、私たち大衆トレーダーは情報の質と速度において最も不利な立場にあります


個人投資家が「勝ち組み」になる方法

 では、ピラミッドの最下層は絶対に勝ち組みに入れないのか?という疑問が出てきますが、答えは「NO」です。個人投資家でも十分勝ち組みになれます。

その方法は、「ヒエラルキー上位にイナゴする」ことです。
いかに上位のヒエラルキーにイナゴできるかが、我々ピラミッド最下層が勝つための唯一無二の方法です。これはFX(為替)や仮想通貨、株、CFDといった銘柄を問いません。

方法は2つあります。

1つめは「上位のヒエラルキーに人脈を作る」
2つめは「上位のヒエラルキーの動きを察知する」

です。
 1つめの「上位のヒエラルキーに人脈を作る」が実践できる人は限られています。実践できれば既に勝ち組みに近いので、このノートを見る必要はありません。
 私がノートに書いていくことは、2つめの「上位のヒエラルキーの動きを察知する」ことが中心です。誰でも実践できますが、前のノートでもお伝えした通り、それなりの努力と時間が必要不可欠です。

 方法は「市場を分析すること」ですが、大きく分けて「ファンダメンタル分析」「テクニカル分析」の2つがあります。


市場を分析する

 上述の通り、分析方法は「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」の2つがありますが、私が主に説明するのは「テクニカル分析」になります。
まずは、それぞれの特徴について、説明します。

 「ファンダメンタル分析」とは、銘柄に関係あるニュースや情報を見て、今後の動きを分析する方法です。ニュースや情報を分析し、「そろそろ政府主導の市場介入があるな」とか「次回の経済指標の発表は良い結果になるな」などの先行きを予測します。仮想通貨であれば「ビットコインETFの審査」「新たな取引所への上場」「バージョンアップやハードフォークの実施」「取引所の事故」などの好悪材料を得て分析します。

 ただし私は、ファンダメンタル分析のみでトレードはしません。なぜなら、私たち情報ヒエラルキーの最下層は、情報の質が安定しておらず、得られる速度も遅すぎるからです。もちろん、テクニカル分析の一部にはファンダメンタルが伴うことを判断にしているものがあるので、参考にはしています。

 なお、新聞や雑誌で「今人気の銘柄はコレ!」のような記事をみて買うことは、愚の骨頂と考えています。これは、ファンダメンタル分析ではありません。

 私達が得られる情報は、他の市場参加者も得ています。仮想通貨バブルの末期は、普段トレードとは無縁の主婦や学生でさえ「仮想通貨を買えば儲かる」と口にしていました。こうなってくると、相場は既にクライマックスです。なぜなら、それより先の末端ヒエラルキーがいないからです。

 そして、大衆に向けた人気銘柄の特集は、上位のヒエラルキーが儲けるために作り上げた情報が含まれています。こういった情報が流れ始めたときは、上位のヒエラルキーはとっくに買い集めが完了しており、いつ利確するかタイミングを考えています。私がトレードで最初に退場した原因が、まさにこれです。「負けている9割」の多くは、こうして退場を経験します。

 「テクニカル分析」は銘柄のチャートから得られる情報を分析する方法です。ロウソク足の形、波の形、売り買いの圧力、出来高の増減など、非常に多くの分析方法があります。

テクニカル分析が優れている理由

 テクニカル分析は、チャートの左側(過去)を分析してチャートの右側(未来)を予測する方法です。
チャートには、情報ヒエラルキーの階層に関係なく事実のみが表されています

テクニカル分析を使う理由は2つあります。
1つめは「多くの市場参加者が意識しているから」
2つめは「上位のヒエラルキーの動きが隠されているから」
です。

「多くの市場参加者が意識しているから」
 チャートの中にある情報は、多くの市場参加者が見ています。機関投資家も例外ではありません。

 値動きの勢いを見れば、市場全体の熱がわかります。
どこのレートが抵抗になっているのかを見れば、上げ止まりや下げ止まりを予測できます。抵抗をブレイクしたら市場の期待はブレイクした方向に勢いがつきやすく、逆に抵抗で跳ね返されたら、跳ね返された方向に勢いつきやすくなります。

 また、チャートには大衆の心理が反映されています。
「負けている9割」の心理がチャートからわかるようになれば、
2017年の末に仮想通貨を買うことがいかに危険だったか、チャートからわかるようになります。もし、これからノートに書いていく知識が2017年末の私にあったなら、「絶対に買わない判断ができていたでしょう


「上位のヒエラルキーの動きが隠されているから」

 これが、テクニカル分析を使う上で最も重要な理由と考えています。
上位のヒエラルキーは、そのほとんどが莫大な資産を運用しています。我々大衆トレーダーが売買いする量とは桁外れの注文を行い、そのやりとりは、ロウソクの形や出来高に現れます。つまり、上位のヒエラルキーから得られる、最も早い情報がチャートに現れています

次のノートでは、トレーダーの仕事を説明します。

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