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1日って長いのね、そのまま勤務ってつらない?

でもつらいのは私だけか?いや同期もそうなはずだ
爆には同期が2人入っていました。

1人の同期の部屋に行ってみました。
当然機動隊舎の中にある独身寮
彼の部屋にはカギはかかっていません、ガチャっとあけたら
彼はぼーっとTVを見ていました。
ただし、番組が流れていいない、砂嵐画像(砂嵐とは昔のTVで番組がないCHを入れたらザーっと灰色と黒色のドット画像が流れるあれです、もっと言うと貞子のあれです)

その砂嵐画像をぼーっと見ているのです。
「おい、大丈夫か?おい」と肩を揺らしましたが彼は無反応、のちに彼は疲れすぎていて砂嵐がここちよくなっていたとのことでした。
TVに引きずり込まれているやん。

そうして訓練がやばすぎる事実を突きつけられた新隊員でしたが、この後の夜の訓練、機動隊新隊員訓練にもありましたが、爆でもその洗礼はありました。
当時の副分隊長つまり、先輩隊員で一番古株の人が新人皆に「ねえねえ、今日遊べる?」と聞いて回っていました。
遊べる?とは、新隊員訓練後、暖中に飲みに行けるのか?ということでした。
これはNOとは絶対に言えない、強制飲み会でした。
もちろん新人は死にそうな顔になりながら「はい大丈夫です」とアルハラ上等でついていきました。

爆自体人数が巡査だけで当時は10名しかおらず、新人入れて10名で飲みに行きました。

乾杯から始まり、まずは初日お疲れ様と労ってもらい、1時間ほど楽しく飲酒したいましたが、ここから副分隊長殿のスイッチが入ったのです。
副分隊長殿は、ビールジョッキの中身を一気飲みで流し込んだ後、ジョッキをテーブルにそっと置いたと思ったら、手のひらで机を「バン!!」
「てめーらの筋肉はゴミで出来ているのか?」
「なんだあの体たらくわよ?」
「あんなこともできないでよく爆ですって顔できているよな」
「きつい、できないなら辞めてしまえ」
今こんなことを言われたら、即刻アウトなパワハラですが、当時はまかり通っていましたし、訓練できない新人が悪いし、もっと努力しろと叱咤激励されていると感じていました。

よく今の人と昔の人の違いなんてギャップがありますが、つまりここの部分です。

昔は、できない人間に対し見捨てないで怒鳴って怒って飲んで、頑張らせる
   指導を受ける側も期待に応える様に頑張る
今は、言ったら凹むし言わないと放置されたって言われるし、絶妙なラインで指導しなきゃならんし
  受ける側も、頑張る人もいますが、のらりくらりそんな事言われたってとか向いてないからすぐ辞めますとか

こんな風に言うと現代の人の方が質が悪いように感じますが、そんなことはなく、現代の人の方が様々な可能性を持っているだろうし能力が多様性であるように感じます。

なんていうのかな、昔みたいに泥臭くない、という感じでしょうか。
いずれにしろ、パワハラ、アルハラ、女性がいたらセクハラ上等
世の中に出てきて騒がれているハラスメント関係はすべて警察が発祥と私は思っています。
それくらい酷かった
しかし、そのひどいことにも耐えてきたという自負があるので、今はちょっとやそっとのことでは動じないし、メンタルが鍛えられたのは間違いないです。
ハラスメントも耐えうる人であれば、今後の糧にはなるのでしょう。
悪いことばかりではないのかな、と私は今になって感じています。

セーラー渡、モンキー渡の恐怖

2日目は、前日に昼間の訓練と夜の訓練のWパンチを味わったので体と内臓がすでに壊れ気味でしたが、容赦なく2日目がやってきました。

2日目は、またランニングからはじまりましたが、新人の1人が走っている最中に夜の訓練の影響が出てしまいゲロを吐きました。
しかし、新人がゲロを吐いてもランニングは停まりません。
走りながら先輩が「ゲロ処理したらランニングにもどれよ!」と怒鳴りながら指示を飛ばしていました。
通常は、大丈夫なのか確認したりするものですが、この先輩も昨晩一緒に飲んでいた人ですからゲロの原因はわかっています。
あのくらいの酒量でゲロ吐きやがって根性が足りない
とご立腹でしたが、酒は根性論ではどうすることもできない。
しかし、割とガチ目に先輩は根性論推奨派でした。

こわい

ゲロランニングを終えて、昨日の復習と言わんばかりにロープ登攀を開始
新人は余計な力が全身に入っているので、筋肉痛は当たり前だし
ロープが足に食い込みすでに足が痣だらけ、ロープの文様が紫色に浮き出ています。
遺体の足かと思います。

復讐をなんとか終えたひよこ達は、次にくる最大の難所ロープ渡りを迎えます。

レンジャー塔のA,Bにロープを張ります。
ヘリコプター降下訓練用のB棟にロープの先端を巻き付けて、登攀等のA塔に通して、塔の真下に駐車してあるレスキュー車の牽引用フックにロープを引っ掛け折り返して縛り上げます。
もちろんロープの摩擦防止で要所にはロープ用のカバーやカラビナが使われており、ロープの摩擦対策は施しております。

見上げるとちゃんとロープ僑の出来上がりでした。
なんて恐ろしい風景なんだ、なんだこの塔と塔の間にあるロープしかないのは
これを渡れと?

先輩隊員がまずはデモンストレーションをしました。
セーラー渡用意、レンジャー○○時準備ヨシ、渡れ!!

ロープの上にうつぶせになり背筋力でなるべくロープと体の接地面を小さくするように頭を前に向け大胸筋はロープから離し、ロープにはお腹から下半身のみが接地利き足を横に出し膝を曲げて聞き足の甲をロープに上から引っ掛ける。
逆の足はロープから垂らして脱力してバランスを取る
両腕で交互にロープを自分の体の方へ引き寄せるように自分の体を持ち上げ前進する運動
これがセーラー渡でした。

次新人!と声を掛けられてまず私が・・
何とか準備態勢になることはできました。
渡れーと声をかけられていざ腕に力を込めるもまず力が入りません。
体はロープに全身密着しており、筋肉痛と手の皮がベロ剥けでテーピングで固定していますが、つるつると滑るのです。
ロープって引っ張られる力が強くてピンピンに張ると硬いんです。
あとロープの表面が引っ張られると伸びてつるつるになります。

手袋をしていては滑ります。
しかし、手の皮が向けているので脱ぐわけにもいきません。
・・・・
どうしよう、とりあえず体の反動を使うしかない・・
ロープの上で体を上下に揺らし体が少し浮いたところで腕を手前に持ってくる
すると
同時に意図せずに足にも力が入り一緒に体を前に推し進めてくれました。
なるほど足を使うのか・・・
ポイントの1個目がわかったぞ
そんな感じで中盤まで進みましたが、体力が底をつきました。
もう限界です。
体のどこが痛いのかわからないくらい痛く、腕も足も手の皮も痛い
こんな経験は初めてでした。
後ろからは「おい、前にすすめ、ゴラ」と怒号
新人連中は不安な顔、次は自分だと不安がっていました
とにかく前に進まなければ、最後の力を振り絞り体の反動をつけて前に前に
到着・・・
息が絶え絶え、前を向くと次の新人がセットアップしていました。
するとその新人は、するすると前に進んでいました。
すごいな、まるで自分がダメなやつだから時間がかかったと言わんばかりの速さで前に進んでいました。
しかし、そうはうまくいきませんでした。
またしても中盤で前進が停まりました。
私の時も他の人も一旦は中盤で停まります。
理由は簡単、ピンと張っても中間地点ではではどうしても重力と重さに耐えきれず、少したわむのです。
実施者からすると中間までは下り坂、中盤からは上り坂に変化するわけです。
みんな前半は調子がよく後半ではばてます。
行きはよいよい帰りはつらい・・・・

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