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とよまのおむすび

とよまのササニシキの塩むすび。こんな美味しいものがあったとは。

シンセサイザーオーケストラの可能性を探る実験的なイベントに参加した。場所は宮城県登米市とよまにある可愛い建物。宮城芸術文化館。とよまは朝ドラおかえりモネの一つの舞台となったまち。

館長はマーブル紙の制作や蒐集家。奥様はブラームスの家系の装幀家。あの川端康成のノーベル賞の表彰状を制作をした芸術家である。

小さな会場にとよまの名だたる人が集まり、ストラディバリウスによる演奏やバイオリンとbehaviorモデルを組み込んだ斬新なシンセサイザーオーケストラとのコラボ。

翌日にはあの隈研吾氏が制作した能楽堂、森舞台でのバイオリンの試奏があった。

とよまには武家の末裔が多く住み能楽が盛んであったそうだ。
能は面を被った死者がこの世に残した残念を語り舞う鎮魂の芸である。常に死と向き合って生きてきた武士が好んで舞い謡ったのがわかる。

その舞台でバッハをバイオリンで試奏した。森舞台の見事な音響効果で無伴奏でバイオリンが奏でるバッハが静かな空気をさらに鎮める。ひとときの安らぎと静寂を満喫した。

夕食にササニシキの塩むすびが出された。当地自慢のお米である。口に頬張るとコメの旨さが広がってきた。コシヒカリでもないツヤヒメでもないササニシキの静かな佇まいの中から現れてくる雄弁な旨さを体感した。

塩むすびはとよまのササニシキだ。



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