演説原稿④<テーマ:小さな暮らしと大きな視点。経済や産業のツールとしてではない、科学技術と文化を。>

この選挙戦、今日、7月20日が最後です。
この原稿は、演説のためにまとめた内容ですが、街頭向きではなく、話す機会はありませんでした。
これまでにあまり話せなかった、私のテーマにしたいことをより詳しく、ここに記載します。
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皆さん、こんにちは。比例で立候補をしました今泉真緒です。

私は、3月に立憲民主党の公募に手を挙げて、この度の立候補にいたりました。
正直なところ、この度、国会議員を目指そうという思いを初めてもった私は、「政治を変える」という言葉を、実感をもって語ることができません。
しかし、この社会に生きる一人として、「社会を変えたい」という思いは強くもっています。

選挙では、街頭演説で、争点になっていることを話します。暮らしや年金、こういうみんなに関わる話にが主になります。
でも、今日は、あまりしない、私個人の話をしようと思います。

これまで、「科学技術と社会」をテーマに、研究者に取材をしながら対話の場をつくる活動をしてきました。
また他国とも連携しながら、国際巡回展のような展覧会やイベントという文化事業を企画して、実現してきました。

科学技術と文化に関わる活動において、非常に価値があると私が信じてきたのは、
何百年、何千年、何憶年という大きな時間軸で自分の足元を見直せる視点です。
さらに、文化は人類全体、科学は宇宙、地球、生命の中の自分、そしてその中で自分に何ができるのかといった視点をあたえてくれます。

これまでの活動では、このような日常を離れたスケールの視点から現状を見つめ直し、対話やコミュニケーションの場づくりを重視しながら、一人ひとりにとって、豊かな社会をつくるためにはどうしたらよいかを共に考えるための活動してきたつもりです。
日常から一歩離れるからこそ、遠回りかもしれないが、自由な思考ができ、それがやがては個人の、社会全体の力になると信じてきました。

私には、4歳の子供がいます。
子どもができて感じたのは、日々の小さな暮らしの大事さです。同時に、未来や世界といった大きな視点にも、実感をもつことができます。
小さな日々の積み重ねが、やがて大きな未来につながるという実感が湧き、背筋が伸びます。

そして、誰だってそうだと思います。
自分の小さな日々は大事。その日の暮らしの充実や、問題への対処の積み重ねが、幸せな日々をつくります。
同時に、少しの余裕があるならば、自分だけのことだけ考えている訳ではないでしょう。

仕事を通じて社会にコミットしたり、ニュースを聞いて心を痛めたり。
地域のこと、日本のこと、世界のこと、未来のこと。そういった大きな視点を、誰もがもって、自分の日々と折り合いをつけながら生きているのではないでしょうか。

この2つの視点のかけ合わせが、一人ひとりと、それぞれが属するコミュニティの豊かさをつくっていくのだと思います。

でも、現実社会では、日々の暮らしに困り、目の前のことを考えるような余裕がない人々が増えています。
さらには、文化活動や研究基盤、公正な社会そのものが、現政権の国家の私物化、人権への冒涜によって壊されていっている。
このような状況に、大きな違和感を積み重ねてきました。

今まで信じて活動してきた分野を発展するためにも、この現状を変え、基盤から取り組みたい、政治家という社会をつくる裏方として、大きな場づくりをしたいという思いに至りました。
それには、私の行ってきた対話の場づくり、手法開発、そして経験がいかせると考えます。

以上が、国会議員を目指した思いです。

最後に、科学と文化で、取り組みたいことをお話しさせてください。

まず、科学技術。
1.「市民社会を基盤とした科学技術立国をつくりたい。」
・ 原発ゼロやマイクロプラスチック、気候変動といった、科学技術と政治的な課題に取り組む。
  科学的思考をベースにファクトを共有、人々の心に丁寧に寄り添いたい。
・ 運営費交付金の削減などで研究力が落ちる中、研究者の研究環境を安定させ、持続的に発展する基盤をつくりたい。
・ 日本に、豊かな高齢化社会や多様性社会を実現するための科学技術の活用を促進。

そして、文化。
2:「長期的な時間軸から、文化の充実、平和外交」
・活発な文化活動と保存活動を行えるための基盤づくり。
・特に、私が近年携わってきた、マンガやアニメ、ゲーム等は、新しい分野。
 関連法案の整備にかかわりたい。
・学芸員や図書館司書さんなど、低賃金、不安定な環境を改善したい。
・文化事業を進めるにあたり、質と効率の両立する、入札や契約などの関連法案を学び、
 現場でつくる人々が動きやすいように改善したい。
・文化を、平和外交にいかしたい。


科学技術も文化も、お金をかせぐ手段ではありません。
出口戦略、産業主導、合目的的ではなく、現場で携わる人々が、生き生きと自らの知的活動を行える。
短期的な結果を求めるのではなく、長期的な視野から、そういう基盤づくりを行いたい。

いずれも、正解のない分野です。そして、社会を根本から変える力があります。
だからこそ、市民や専門家、行政の開かれた議論が必要です。
その間をつなぎ、対話の場をつくれるのが、人々の声を聞くことを担っている政治家だと思います。
そして、だからこそ、野党がしっかりと機能して、異なる視点から議論をぶつけるべきと思います。
私は、その役割を担いたいと思う。

大きな視点から、科学技術と文化。長い時間軸から人間を豊かにするための政治をする。
そして、そのために、ひとり一人の小さな日々、今日の暮らしに困ることのない経済、福祉をつくる。

この2つの視点を軸に、しっかりと皆様一人ひとりの、小さな幸せと、大きな未来が両立する社会を作りたいと思います。