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鳥取市農協生活センター(鳥取市行徳)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年12月15日号より、鳥取市農協生活センターの記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。


【事業所めぐり61】鳥取市農協生活センター(鳥取市行徳)


鳥取市農協生活センターは、鳥取市農業協同組合が、組合員ほか多くの一般地域消費者に生活必需品を供給するため、約10年前から手がけている事業。農協のモットーである「組合員の生産と生活を守る」の”生活を守る“部門を担っており、同市行徳の中央店だけで大丸、ダイエーなどの大型店に負けないだけの売り場面積を持ち、売り上げ高も1日約1600万円にのぼる。

昭和43年、中央店をオープン。以来、農協をあげて組織購買の威力を十分発揮し生活必要物資の価格抑制を図る一方、安定供給に努めて10年近く「良い商品を廉価で販売」し続けてきた。また、行政とタイアップして利便施設として面影、末恒店、さらに組合員などの要望で稲葉、美保店を逐次オープンし、今では組合員のみならず一般市民の利用者も多く、生活に密着した店舗にまで成長している。

売り上げもオープン以来毎年、年率平均15%増を維持するという急成長を遂げているだけあって、この不況時にもかかわらず、昨年は5店舗合わせて当初計画を上回る55億円を計上した。特に、中央店は相剰効果を期待して周辺に多くの商店が進出してくるほど、同市商圏の―つの核的存在になっており、昨年はここだけで45億円程度を売り上げ、「駅前が完全に整備されれば、まだまだこれから発展が期待できる」と本城旦生活部長。

しかし、ことしは不況による影響が厳しく、消費者は沈滞ムード。これから年末にかけて、歳末商載の追い込みに力を入れなければならないが、同部長は「今月は前年比30%を伸ばしたいが、11月が20%増に終わっており、あまり期待できない」と消費低迷を訴える。それでも、年間売り上げ高では昨年の15%増程度はなんとか確保できそうで、ことしの当初目標額63億円は達成可能の様子。

もっとも、同センターは根本的には利潤追求が目的ではなく、あくまでも組合員8300人の生活防衛を目ざして、消費者活動を不必要な商品は買わないという指導もしてきているため、商売に徹し切れない難しいところもあるようだ。このため、同センターでは、「消費者モニターのアドバイスを受け、よりニーズの高い商品の販売に心がけるほか、消費者懇談会など利用者の声を吸収しながら、消費に密着した店舗運営に努めている」と積極姿勢。

従業員の教育研修も徹底し消費者サービスの向上にも力を入れているが、ことしは中央店にスプリンクラーを設置するなど保安設備を整えたほか、売り場面積も広げて総面積約7260平方㍍とした。

「安心して買い物をしてもらう一方、店舗、商品を充実して多くの消費者の利用を確保したい」と期している。(昭和52年12月15日号)



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