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Foveon の旅 (2)

2009年5月、友人のM君がロンドンに来るというので、発売直後のシグマDP2をなんとか買ってきて欲しいと頼みました。M君は地元大阪を隈なく探し回り、難儀して英国に持って来てくれました。こうしてぼくのフォビオンの旅はいよいよDP2から始めることができたのです。

2009年は初めてチェコを訪れた年ですが、プラハはこの時から目に見えない糸でDPシリーズと繋がっていたのかもしれないと思うエピソードがあります。

SIGMA DP2

それは後年、福井信蔵さんに誘われてDP3Mのカタログ制作をお手伝いすることになるのですが、その撮影中プラハ中央駅でばったりM君と出会ったのです。あの福井信蔵さんとM君をプラハ中央駅で引き合わせるなんて、なんて粋な計らいかとあとでしみじみ思いました。

2009年当時は、デジタルプリントの出力についてぼくは素人同様でしたが、DP2からいろんな事を教わったように思います。ギーコギーコと唸りながら焦点合わせをするこの小さいカメラの、その予想を超えた絵の素晴らしさにはただ驚きの日々でした。

SIGMA DP2

久しぶりにシグマSPPをダウンロードして、DP2のRAWファイルを現像してみると、意外にもスムースに動くことに少し驚きました。LRでサクサクと現像するようなわけにはいきませんが、あの頃の苦労を思うとSPPもずいぶん進化したと思います。一枚一枚丁寧に仕上げるテンポは、フォビオンの写真には望ましい相棒です。

ただ気のせいでしょうか、最新のSPPはスムーズに動く代わりに、やや普通になってしまったのかなと感じたりします。DP2はもう少し尖った個性があったのでは?と思うので、こうしてあたり前に現像ができてしまうのは、慣れないせいか少し落ち着きません。

SIGMA DP2


SIGMA DP2

M君に無理を言って手にしたDP2ですが、残年なことにもうその個体は手元にはありません。こうしてSPPで現像したものを今見ていても、フォビオンの絵に10年のハンディは感じられません、それどころか再びそれに引き込まれそうな魅力十分です。


SIGMA DP2


SIGMA DP2

幸い手元にはDP2MとDP3Mが残っています。特にこれまであまり使うことがなかったD P2Mは、筐体が少し大きくなったことで液晶も見やすく、レンズも新設計の30ミリ(35ミリ換算45ミリ)とより標準レンズに近くなり、これからのフォビオンの旅を続ける楽しみのひとつになりそうです。


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