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定期的に発生する「美術館や博物館に子供を連れて行けば問題」に経験者として物申す

定期的にこの手の記事が上がります。

「読書をすれば、子供の成績が上がる」「演劇をすれば、子供の心身が落ち着く」「博物館や美術館に行けば、子供の創造性が上がる」。

定期的に発生します。この手の記事。特に「芸術の秋」という時期だとPR的なものもあるのでしょうね。私が日本にいた時にはなかった意見でした。

それはなぜか。10年から5年前までは「子供を美術館に連れて行くなんてとんでもない!」という考え方が主流だったからです。

子供がいる家庭は、公園で遊ばせ、地元のコミュニティの会に参加し、友人になった相互の家に遊びに行き、誕生日会やクリスマス会をするものだ。そう思っていた人が多数派でした。

だから

そういう場に入れなかった人は、落伍者扱いだったんですよ。そういう親子を救っていたのが運動コミュニティとかでした(うちもずっとサッカーやってました)。そして空いた時間に美術館や博物館に通い続けました。だって運動関係以外に私が安心して交流できる親なんていなかったし。ちなみに

「子供を公園で遊ばせないないで、美術館や博物館に連れまわすなんて虐待」

って言われていたこともあります。「子供同士のコミュニケーションを学ばないでそのまま大人になるなんて将来が心配」って。別に週7日、1日中美術館にいるわけじゃないのに。知らんがな。

ちなみに私、こんなブログを12年やってます。子供と一緒に美術館、博物館に行く経験はそれなりにあると思っています。

そんな風に揶揄されてきた私からするとこの「子供を美術館や博物館に連れて行けば成績アップ」記事は

落伍者扱いされてきた層の反撃」なのか、それとも「データは出てるけどあんたの子別に成績上がってないやん!」という更なる追い詰めなのか。どっちにも感じられてとても、とても、辛い気持ちになります。なんで、行為をデータ化されなあかんのかと。ちなみになぜデータ化するかってデータ化することで効果を視覚化しなきゃ納得できないってことですよね。

「なぜ子供を美術館博物館に連れて行き始めたのですか?」と聞かれたら私はダイレクトに答えます。

「友達がいなかったからです」

そして付け加えます。

「美術館や博物館は「自分だけで行った方が楽しいからです」

知り合いと一緒に行ったらその人を気にしないと行けません。気になった絵、試してみたい展示に心ゆくまで張り付くこともできません。親子だけで行ったらそんな余計な心配をする必要はありません。これは別に美術館、博物館に限ったことではないと思います。図書館、森林公園、プール、ジム。

自分のペースで自分が満足いくまで楽しめた方が楽しいに決まってる。

でもこれって孤独が怖い人だと出来ないんですよね。誰かと一緒じゃないと自分が劣ってると感じてしまうタイプ(実は日本で乳幼児を育ててるとこの感覚に落ち入りやすい)になってしまうと不安で不安でしょうがない。。

自分の脳で考えるのは自分。だったら自分で考えた方が絶対楽しいです。どうか一人で、いや、子供が一人でだな。子供が一人で思考したり行動したりする環境をたくさん作ってあげてほしいのです。己の世界の思考の世界が豊かになれば交流もその分豊かになります。コミュ力なんて適当にあればいいんです。今の時代、別いん対面のコミュ力が欠落してたってなんとかなる。友達と一緒じゃなきゃとか、友達がたくさんいなきゃなんて思わないで。

美術館や博物館は少なくとも私にとっては「ぼっち思考最高やん!」って教えてくれる場所でした。一人でいくら考えても、誰にも何も言われない。最高だ。そしてその場を自分で楽しむ私を見て、私に連れてこられた息子も自分で楽しむポイントを自分で見つけられるようになりました。

どうか、美術館や博物館に行く時はぜひ親子だけで行ってください。そして成績が上がるといいなとかそんなことは家の玄関横にそっと置いておいて、お子さんとご自身が滞在したい時間でその場を楽しんでください。短くたっていいんです。成績がとか何も考えなくていいです。宿題が気になるのなら宿題の気にならない時間帯でいいんです。

家に帰って「ああ楽しかったね!また行きたいね!」と親子で話せればその体験は素晴らしいエネルギーになります。お子さんだけじゃなく、親にとっても。

親が一人の人間としてその人の方法で思考を楽しむ。美術館や博物館をそんな風に楽しめばその場所は子供だけじゃなく全ての人にとって新たに思考を自由にさせる素敵な場所になると思います。思考を自由にさせる場所があれば、他人の思考をより冷静に見れるようになります。

絶対その方が楽しいですよ。ソースは私。