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スペイン巡礼2018回想記(2)出発〜マドリード

 2018年5月7日、私はフィンランド航空でマドリードに入った。

 今回行くサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路のひとつ「フランス人の道」のスタート地点、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーは、ピレネー山脈のフランス側の村だ。
 そこにたどりつくには複数のルートがあり、どちらかといえばフランス側から入るのが一般的だが(スペイン側から入ると巡礼路上の街パンプローナに先に来てしまうことになるので、たしかにちょっとつまらない)、マドリードには何度か来ていて慣れていたので、慣れているほうをとることにしたのだった。
 フィンランド航空を選んだのも、以前それで3回スペイン旅行に来たことがあったからだ。

 というのも、出発時、私は疲れていた。

 辞めた職場の最後の2、3年は、ほとんどの時間を職場の悪口に費やしていた。精神的に限界をきたしたところで逃げたわけだが、出発時点で無職になって3か月。まだ呆然とするばかりで、回復したといえる状態ではなかった。

 在職中は、ずっと小説を書きたいが疲れて書けないという状態が続いており、仕事を辞めたらゆっくり書きたいと思っていたのに、1文字も書けていなかった。
 巡礼のために歩く練習もしたかったが、日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会さんのイベント「ワンデーカミーノ」で飯能をハイキングし、買ったばかりのトレッキングシューズを近所で歩いて慣らしたぐらいで、あとは少し長めに散歩した程度。ザックを背負う練習もしていなかった(これが後日かなり響いた)。

 しかし、巡礼の5月は思った以上にすみやかにやってきた。
 とにかくあわただしく4月末の歌の発表会をすませて、真新しいザックに荷物を思いつく限り詰めこんで、ばたばたとスペイン入りした。

 マドリードのバラハス国際空港に降り立ったとき、虹が私たちを出迎えた。それを見たとき、祝福されている気がしたのをよく覚えている。

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 3度目になるマドリードの街並を、私は信じられないような気持ちで見ていた。
 前に来たのは2017年5月。たった1年前である。スペインはかなり好きな国ではあるが、基本的に似たような国ばかり来ていると飽きるたちなので、なるべく中東やアジアと交互に行く。
 1年前はマドリードと近郊のセゴビアとトレドを訪れており、マドリードではレティーロ公園が気に入っていた。今度来たときはゆっくりレティーロ公園の緑のなかを歩こう、と次回を夢みて帰ったのだが、わずか1年で本当に再訪することになるとは思っていなかった。

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 ちなみに、重いトレッキングシューズを散歩ではくのがいやで、サンダルでマドリードの街を歩きまわり、巡礼する前から足を靴ずれだらけにしてしまった。特にその後の巡礼に支障は出なかったのだが、初っぱなからバカをやってしまった。疲れていると判断が狂っていけない。

(スペイン巡礼2018回想記(3)に続きます)

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