Nothing Is True & Everything Is Possible - Enter Shikari

かつては「レイヴmeetsメタル」なんて形容されていたEnter Shikari。
メタルのリフにアゲアゲなエレクトロをブチ込んでいた2007年頃から考えると想像できない方向に進化したのが今作、Nothing Is True & Everything Is Possibleではないでしょうのか。

いや、全くもってその片鱗がなかったのか、と言われるとそうでも無いと思います。
時は遡ること2015年、Bring Me The Horizonがポップに傾倒したスタジアムロックな作風のアルバム、That's the Spiritsをリリースし、世界的に高く評価されました。これにより、「作風をガラッと変えてもある程度リスナーに受け入れられる土壌」が出来上がり、これに続けと多くのラウドロックバンドが、ポップでロックなアルバムを発表しました。
この一連の流れに乗ったわけではないでしょうが、Enter Shikariも、自らのポップさとキャッチーさを最前面に押し出した傑作、The Sparkを発表しています。この作品は賛否ありつつも、一皮剥けた、と最大限の賛辞も贈られており、今のバンドの評価を不動のものにした感があります。

では今作のフィジカル要素です。
まずはCDのジャケット。デジパックでした。
トラック名が載っているジャケットは初めて見たかも。
内容に反して、一見さんお断り感がすごい。

裏ジャケットはこんな感じ。真っ黒。

中を開くとカラフルだけれど情報は皆無。

右の表紙ポケットから相変わらず真っ黒なCDケース。
これにはクレジットが記載されています。

CDのレーベル面。

フィジカル要素はめちゃくちゃアーティスティックで、説明らしい説明が全くありません。
さて、肝心の楽曲ですが、前作の延長線な作風の曲が多いです。全体に漂うフィーリングはポップそのもの。また、前作ではキャッチーでノリの良いバンドサウンドが数多くありましたが、今作は更にエレクトロ音が増え、実験的な楽曲も増えました。全体的にコンセプトアルバム調になっています。

アルバム内では随一のヘヴィさと、壮大さを併せ持つM1は流石の仕上がり具合。今までのキャリア集大成的な楽曲です。
続くM3はアクの強いラップとキャッチーなコーラスだけでもお腹いっぱい。ブリッジのギターが本当にかっこよくてさらにお腹いっぱい。
中盤はM7のエモすぎるバラードがあれば、M9はM1にも似た雰囲気の縦ノリなヘヴィロックが炸裂します。変幻自在すぎる。あと何でM11と12は分割したんだ…。
M13は前作収録のThe Sightsや、2019年末にリリースされたシングル、Stop the Clocksを更に発展させた、アップテンポなロックナンバー。YouTubeでも在宅ライヴ映像が公開されていて、早くも次のPV候補曲か。

自らの立ち位置に拘りつづけ、常に自由な創作を続けてきた彼等は、ゲリラ的にシングル作品を発表したり、今作のように発売直前にリリースを告知してみたりと、相変わらず自由奔放。今作も、アルバム最後までリスナーを弄ぶ変幻自在さを見せつけます。
この辺りの遊び心も、このバンドの武器の一つだと思っています。
実験的、コンセプト的なアルバムと、所謂オーソドックスなアルバムを交互に作っているイメージなので、次は普通の形態に戻るかな…?

Enter Shikariのこれまでのアルバムは国内盤がありましたが、今作は今のところアナウンスがありません。日本ではほぼノープロモーションです。
毎回、配信限定でリリースされていたシングルがボーナスとして入れられていたので、国内盤がないのは寂しい限りです。
それに、M1で日本カルチャーに傾倒したMV作るなら、もっと来日してくれて良いんだよ?なんなら恵比寿liquidあたりでワンマンでもいいのよ?

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