鶏肉の本草学的効果

鶏肉の本草学的効果 - 養生大意抄03

鶏肉も滋養作用が強い食材で、食べ過ぎは禁物とのこと。体によい食材を食べるときほど、過食には気をつけないといけない。

【原文】

鳥の肉にも性よろしき品あり。然れども皆消化がたし。此故におほく食すべからず。性よからぬ品殊に多し。其物の性の善惡と肉の堅(かたき)脆(やわらか)とを考へ性よく肉こはからぬ物を食すべし。昔より食物にせし鳥肉に食すべからざる品多し。鶴鵠(はくちやう)の類の大鳥は故なくして食すべきものにあらず。

【意訳】

鳥の肉にも性質のよいものがある。しかしながら、みな消化によくないので、沢山食べてはいけない。性質のよくないものも特に多い。性質の善し悪しと、肉の堅さや軟らかさを考え、性質がよく肉の硬くないものを食べるべきである。昔から食物にしていた鳥肉には、食べないほうがよいものが多い。鶴や鵠(はくちょう)の類の大鳥は、理由もなく食たべるべきものではない。

【ひとこと】

本草学的にみたニワトリの滋養作用は?

スーパーなどで鳥肉と表記されている肉は、ニワトリの肉ことを指し、家庭の食卓では、ほとんどの場合、ニワトリが食べられているだろう。このニワトリは、実は本草学的にみると補う効果が強く、優れた食材といえる。

江戸中期の本草書である『本朝食鑑』には「肝肺腎を補い、脾胃をととのえ、風を除き、湿を逐い、気を益し、血を温む」などとあり、婦人の諸病にもよいとされている。

ただし、前回の魚と同様に、滋養作用の強いものは、食べ過ぎると逆によくないことがあるので、そこだけは注意したい。

体によいものを食べるときほど気をつけたいこと

この体に良いものでも食べ過ぎると害にになるという説は、鳥や魚だけのことでなく、結局のところ全ての食べ物に当てはまる。

『本朝食鑑』の著者である人見必大は、卵について解説をしている箇所で、多食について次のように述べている。

性質が平和であっても、蓄積して温熱をおこすときは、害を生じてしまうのは確実だ。これは卵だけのことではなく、人間の飲食はみなそうである。(『本朝食鑑』巻五、禽部、筆者による意訳)

つまり、体によいものを食べる時ほど、その作用を最大限に享受するためにも、腹八分目にするとよい。体によい食材だからといって、たくさん食べようなどとは思ってはいけない。

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