胃にやさしい食べる順序について

前回は胃をいたわる夏の食べ方について、江戸の養生書の『養生大意抄』から紹介した。今回も引き続き同書から、胃にやさしい食べる順序について紹介する。

汁物を先に飲むべし

【原文】
空腹なる時驟(あわて)てすぐに物を食すべからず。先(まづ)湯茶の類にても羹汁(にもののしる)抔のたぐひにても飲て、腹内をよくうるおして後に物を食すべし。凡飢過て食するときは、必味噌汁をとくと飲て後に飯を喫(くら)へば病を生せず。若先飲物せずして食すれば、食厥の病を発することあり可恐(おそるべし)※1。
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※1.食厥(しょくけつ)とは、食後に卒倒すること。同著者の『広恵済急法』には「食滞して卒(にはか)に倒るるなり。」とある。
文献:多紀元悳『養生大意抄』国立公文書館内閣文庫所蔵、天明八年(1788)刊本、翻刻は筆者による

空腹時にはついつい急いでご飯やおかずを食べ始めてしまうが、慌てて食べると、胃の不調のもととなる食滞を生じてしまう。

そのため、食事をとる時は、最初に白湯や温かいお茶を少し飲むか、汁物を口に入れて、腹をうるおしてから食べるとよい。特に過度な空腹時は、味噌汁をしっかり飲んでから食事をしないと、食後に卒倒してしまう食厥という病を生じるという。

何の前触れもなく、突然次々と食べ物がなだれ込んで来ると、胃がびっくりするので、最初に温かい汁物を入れて、胃に準備をさせるということなのだろう。食べる順序をちょっと変えるだけの、簡単な養生法なので、ぜひ習慣化したい。


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ミャー
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宮下宗三(鍼灸師)

成鍼堂の堂主、鍼灸師。著書『江戸の快眠法』(晶文社)など。家庭でできる東洋医学的な養生法を発信。イラストも描いてます。

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