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注射の痛みをごまかす方法

実は鍼灸師なのに注射が苦手だ。自分に鍼をするのは全く平気だが、注射はどうしてもこわい。

今日は健康診断の日なので、採血がある。暗い気持ちで起床し、朝食中の小学生の娘の前で、注射が嫌だと何度もつぶやき、近くのクリニックへ行った。

痛くない注射は、看護師の技量に左右されると思われがちだが、受ける側の工夫でもある程度ごまかせる、と私は考えている。

痛みを軽減するためには、注射器から目をそらし、リラックスするとよいとされているが、そんなことだけでは痛みはごまかせない。私の場合は注射を受ける場所の裏側を、針が入る直前から軽くキュッとつまむようにしている。

こうすると不思議と痛みが軽減する。なぜなのだろうか?

無事に注射が終わり、待合室の椅子に座りながら考えていると、学生時代にならった、痛みの抑制と関係するゲートコントロール説を思い出した。

痛みの信号は、あるゲートを通って脳に伝わる。その痛みのゲートは触ったり圧迫したりする刺激で閉じるという説だ。

つまり、キュッとつまむ圧迫刺激によって、痛みのゲートが閉じ、注射の針の痛み信号が遮断されるというわけである。

いつもこれで注射の痛みに耐えているのだが、今回は私の採血をした看護師さんから、もうひとつ学ぶことがあった。

その看護師さんは注射の前に、私にもっと肘を伸ばすように言ってきた。この肘を伸ばすということが、もうひとつの痛みをごまかすポイントとなる。

肘関節は自然にしていると軽く屈曲し、その部分の皮膚がたるむ。逆に肘を意識的に伸ばすと、関節部の皮膚がつっぱる。

鍼灸師としての長年の経験からすると、皮膚のたるんだ場所に鍼をすると痛がられることが多い。なぜかというと、しぼんた風船に針を刺してもなかなか破裂しないように、たるんだ皮膚はつっぱった皮膚よりも、鍼が体内に入るのに手間どるからだ。

看護師さんとしては血管を探しやすくしたり、針を刺す角度の調整がしやすかったりと、別の理由で肘を伸ばさせるのかもしれないが、来年からはこの方法も採用しようと思う。子どもにも教えてあげよう。


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