夢からのメッセージ

手が空を切れば腕に衝撃が走り、足を振り上げればももにドスンと重く響く。
痛みはないが、嫌な気分に包まれる。

一体なんだ、この世界は。真っ白い空間にいるのだが、違和感がなく懐かしい感じすらする。自分の他にはだれもいない不思議な世界。
あーと言えば、あーと返る。わあーーと張り上げれば、わあーーと響き渡る。

「そうか、そのまま返ってくるんだな。」

ゆっくりと指先でなぞれば、手の甲がくすぐったい。手のひらで撫でると、頭を撫でられている。
この世界でしばらく遊んでいると、徐々に思考が遠のいてきた。

重たい瞼に、鈍い頭、びっしょりと汗ばんだ身体が布団の上にあることがわかった。
サイドデスクの上にある携帯電話を取ると朝の6:54だ。目覚まし時計は7時キッカリにセットしてある。

「何だ、夢だったのか。さあ、もう起きよう。」
携帯電話のタイマーをオフにしてから、布団から飛び起きた。

その日の夜、一日仕事をして帰るとベットの上のシワになったシーツが目に入った。自分が地に足を付けていた馴染みの社会は、夢の中と同じ世界であることに気がついた。

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