ぼくたちの夏休み

トンネルを抜けるごとに空が明るみを増し、夏の空が迫ってきた。
「もうすぐ着くの?」と何度も同じことを聞くぼくに、運転席の父は
「まだだよ。」とやさしく答えていた。

まだ空が薄ぼんやりとしている早朝に出発した。
父が運転するセダンの後部座席で興奮していても、徐々にウトウトしてしまう。

「海水浴」に行くことは毎年の恒例行事。長い長い橋を渡れば、もうすぐ到着するとわかっていた。

いつも、到着すると潮の香りがして日差しは熱く照り、気温は暑く、絶好の海水浴日和なのだ。
青々とした空は巨体な入道雲を浮かべ、海と交わって水平線となる。海はどこからともなく波を伝えて、ぼくたち家族を楽しませてくれる。
海から遠い町に住むぼくは、海の壮大さに驚きを覚えた。そして、海の家のむしろの上で食べるラーメンは最高においしい。

ぼくたち家族はクタクタになって、かならず日帰りをする。長い長い橋を渡ると、なぜかすぐ家に着いてしまうのであった。

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