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サブタイトルのつけ方(ムリョウの場合)

僕は自分でTVシリーズの脚本と監督を担当する場合、全話のサブタイトルもたいてい自分で考えます。シリーズ構成のみならず、サブタイトルがズラッと並んだときにも一つの流れが表現出来ればなあと考えてのことですが、原作があったりプロジェクトの一環としてのアニメ作品に参加したりした場合は、原作者や製作委員会の思惑を優先します(その上で主張はしますが)。ムリョウの場合は自分が原作者ということもあり、かなり文芸に関してはわがままを聞いていただきました。サブタイトルもその一つです。

さて、ムリョウのサブタイトル。制作中に何故読点が入っているんですか?という質問をスタッフから受けたことがあります。その時は口頭で答えたんですけど、せっかくnoteにムリョウ関連の記事を先日投稿しましたし、文字にして残しておくのもいいかなあと思い、あらためてここに載せたいと思います。

読点「、」は何故打つのか?学校で習ったような習わなかったような。句点は文末に打つものなのでわかるけど、読点は何だっけ?そもそも何て読むんだっけかな…句読点の印象ってそんな感じ。先生もそんなに熱心に教えてくれなかったような。

読点はとうてん。どくてんじゃない。まずはそこから。読点を打つべき場所っていうのはざっくり言って三つ。意味の切れ目に打つと明瞭になる場合、打たないと誤読されそうな場合、そしてそこに読点を打つと「間」が生まれていい感じになる場合……まあ、そこから思いを馳せると色々な打つべきパターンがあると思いますが、それはここで語る話題ではないので割愛。

ムリョウのサブタイトルの読点は主に三番目の理由。音読にせよ黙読にせよ、「間」が欲しかったためです。更にはそれによって余韻と多様性が表現出来ればなあと考えました。

例えば第10話の「だから、明日のために」。様々な人たちには様々な明日がある。明日のために今を生きています。とはいえ、TVアニメは1話20分。ムリョウは群像劇とはいえ、それぞれにスポットライトを当て過ぎて散漫になってしまうとドラマとしての流れが淀んでしまいます。

そこで読点、というわけです。

「だから」と「明日のために」の間に読点を入れることでタメが入って、10話を見終わってサブタイトルを振り返ったとき、視聴した人たちの脳裏に色んな明日……始や那由多、天網の人々の明日が浮かんだりするといいなあ、そんな思いをこめてこのタイトルをつけました。ほとんど自己満足ですが。

ムリョウのサブタイトルは基本、その背後に大勢の人たちがいるんだという意味を込めて読点を打っています。中にはそうでもないものもありますが、それはどちらかというと「間」としての読点ということで。タイトル並んだときに何となくカッコイイよねという理由もありますが(笑)。

唯一、例外が第2話「ムリョウのチカラ」です。
設定にも絡んでいますが、ムリョウの能力はムリョウだけのものです。だから読点を入れていません。そんなルールを作って全話サブタイトルを作りました。中には先にタイトルを思いついて脚本を書いている話数もあります。これは自分で構成して全話の脚本を書いて監督をしているからこそ出来ることですね。

さて、今進めている新しい企画はどうなるのか……発表はしばらく先なのでしばしお待ち下さい。

読んで下さってありがとうございます。現在オリジナル新作の脚本をちょうど書いている最中なのでまた何か記事をアップするかもしれません。よろしく!(サポートも)