ワタクシ流業界絵コンテ#28

 と、いうわけで最終回です。この連載のきっかけは『学園戦記ムリョウ』という僕の作品のプロモーションの一環として書かせていただいていたわけで、まぁ、でなければTVアニメのいち演出家が2年の長きにわたってこの『放送文化』に書き続けることなどあり得なかったでしょう(笑)。とはいえ、特に『ムリョウ』について語るわけでもなく、僕の思い出話を延々書いていただけだったので、全くアニメのプロモーションにはならなかったのですが……。折角ですから最後は、僕のフィルムの宣伝づくしで終わりたいと思います(笑)。
 さて、『学園戦記ムリョウ』は去年の5月に放送を始め、12月に終了しました。NHKの衛星第2の火曜日午後6時半、という微妙な時間帯のため、さして話題にならなかったのですが、海外売りを含め、いまだ展開中です。最近のアニメは放送収益よりもビデオ売りという順序で息の長い商売を続けています。そのうち再放送をするやもしれないので気が向いたならばご覧になっていただけると幸いです。
 ちなみにビデオですが、売れない売れないといいながら4万本売れました。『飛べ!イサミ』のエンディングが確か600本程度の出荷でしたからNHKアニメとしてはまぁ、上出来。とはいえ、最近はビデオが売れないとダメ作品扱いなのでちょっと辛いです。今後の海外版の売れ行きに期待、でしょうか。
 そして現在、2本の新作を準備中です。1本は『ムリョウ』の製作会社マッドハウスで作っている『獣兵衛忍風帖』という時代劇アニメと、もう1本は『ナデシコ』の製作会社ジーベックで作っている、太陽系を舞台にしたSFアニメです。『獣兵衛〜』は元々がアメリカで人気のあった同名の劇場作品のTVアニメ化で、基本的にアメリカのペイパービュー放送にかけることを前提にしたかなりハードなアクションものです。SFアニメの方は、タイアップ諸々を控えているので詳しくは書けませんが、国内のコアなアニメファン向けといいつつも、幅広い層の支持を集められるようにとあれこれ思案中です。
 最近では国や東京都、杉並区がアニメに熱い視線を送ってくれているので、それを上手く追い風にしたいところです。何より面白くて売れるアニメを作るのが第一だよなぁ、と本数だけはたくさん増えた最近のTVアニメの状況を見るにつけ思うのですが……

 そんなこんなで今回で終わりです。尻切れトンボの感はぬぐえませんが、もし佐藤の駄文がまた読みたい方はNHK出版におハガキを(笑)!
 ではまたどこかでお会いしましょう!

NHK出版『放送文化』2002年10月号掲載


読んで下さってありがとうございます。現在オリジナル新作の脚本をちょうど書いている最中なのでまた何か記事をアップするかもしれません。よろしく!(サポートも)