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[随考] 生成AI技術者に明日はあるか?

 Twitter界隈では生成AI(LLM)をファインチューニングしたりすることが流行している。僕の場合は事前学習も視野に入れることができる幸運(不幸?)な立場だけれども、いざ技術志向の独立部隊としてスタートアップ(ベンチャー企業)みたいなことをやろうとしたら、逆に技術的なことよりもコンサル的なことで悩みが深くなってきた。
 副業で小説家を目指しているので暇がないけれども、これも会社業務の一環だと考えて、現在考えていることを記述しておくことにしたい。ちなみに僕は若い頃に子会社の起業に巻き込まれたり、高校の知り合いが起業しているし、御時期たちは町工場とはいえ社長をやっていたりする。だから会社を創業するとか経営するといったプロジェクトの苦労話を書くつもりは全くない。あくまで生成AIでビジネスすることにテーマを絞りたい。
(起業したり会社経営するプロセスにおいても、生成AIは大いに役立ってくれそうだけれども)

 ちなみに現在は国内でも大規模GPUクラスタを構築する機運があって、僕のようにNVIDIA関連のGPUやCUDA/Enterprise AIを取り扱える技術者は引っ張りだこ状態だ。しかしこれは嬉しいことだけれども、放置すると1年後くらいにはお払い箱になると予想している。
 なぜなら2024年に入ってからはGPT-4以外の選択肢も増えており、生成AIはそれなりに実用性が向上している。だから細かいチューニングせずとも、すぐにビジネスに役立ってくれなければ、経営者は生成AI導入を見限ることになるだろう。特に日本の経営者は生成AI技術に通じている者は多くないし、経営者を支えるスタッフ部門にも技術者は少ない。「風向きを見ながら経営する」が、日本的経営の原点になっているのだから。

 どのくらいの恩恵をもたらしてくれるか保証の全くないGPUクラスタに、数十億円~数百億円の設備投資をする経営者は少ないだろう。少なくとも僕が経営者だったら、決して投資しない。「少なくとも生成AIが役に立つことは実証しないと話にならない。そして事前学習をやるために大規模GPUクラスタが必要ならば、その導入メリットも教えて貰えるとうれしい」である。
 どうして日本の経営者は技術的なことを学ぼうとしないかと憤慨しても、ともかく目の前の現実に文句だけ言っていても、何も始まらない。

 だからまずは、生成AIが使いものになること実証することが、お客様とのパイプを構築する上で必要となる。

 なお客先の技術者は我々と同レベルであっても、そのことは現段階では、全く役に立たない。失礼ながら役に立つならば、とっくの昔に経営者たちの認識が変わっているだろうから。
(一言で技術者といって、いろいろある。NVIDIAのハードウェア/ソフトウェアを扱うITインフラ技術者はシステム構築/維持/改善で重要な存在だけれども、「そもそも生成AIは会社運営で他者差別化するのに役立つ」ということは守備範囲外だ。対象企業内の業務プロセスを分解して分析し、生成AIが役に立ちそうな部分を見つけることのできる技術者が必要となる)

 もしくは「導入したらこんなに役立った」と、具体的な効果を保証してくれる事例とその導入企業の存在である。「実証試験をしました」では、残念ながらお話にならない。

 ここら辺は「論理国語」の導入が提唱されたりして、気づいている人は気づいている。事例にしてもいずれは公開されるので、事例DBを保有していることは差別化要素とならない。Metaのように顧客が利用するコンテンツ提供部分を握っているか、もしくは事例と顧客状況を分析して、生成AIが役立ちそうな部分を見つけることの出来る技術者を保有していることがポイントになりそうだ。

 もしかしたら顧客が自らそのような技術者を社内に抱えるようになるかもしれない。特に米国は他者差別化といった目的などで、IT技術者も社内に保有する傾向がある。日本はその部分をSIベンダに丸投げすることが多いという総務省データになっているけれども、生成AIでは変わるかもしれない。

 ともかくまずは僕にしても、実際に事例を見ながら今回の随考を検証していくことが望ましい。今のところは随考というか、夢想だと言われても全く否定できない状況なのだから。

 それでは今回は、この辺で。ではまた。

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 記事作成:小野谷静(オノセー)

P.S.
会社だとウェットティッシュを一つ設置するだけでも、やれ社内の安全規則だとか予算だとか発注手続き(取引先確認&手配システム操作)などで、半日がかりの作業になってしまう。ここら辺も生成AI等で自動化できると嬉しいですな。


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