平和の味

きみとの最後の日、私はラスイチの煙草をきみにあげた。その名もPeaceスーパーライト。

私ときみの周りにその煙草を吸ってる人は私しかいなかった。私のことを忘れないで欲しかったからその煙草をわざときみにあげた。

その煙草を吸ったきみが言った。

「俺には重すぎるよ」


私は思い出した。

きみと初めて一緒に煙草を吸った時のことを。

煙草を忘れちゃったきみは私のを一本くれないかと言った。だから私はいつも吸っていたそれを渡した。その時きみは何も言わずにそれを吸っていた。重いとも軽いとも好きとも言わずに、吸っていた。

きみは変わってしまったんだな。

何も言わなかったPeaceスーパーライトを重いと言ったきみはきっと変わってしまったんだ。

私はPeaceスーパーライトを自分と重ねた。

私のことを何も言わずに受け入れてくれたきみは、最後には重いと言って受け入れてくれなくなったんだな、と。


あーあ、煙草なんてあげるんじゃなかったなあ。

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