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"歴史" 系 note まとめ

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2019年5月の記事一覧

【フランス革命~ナポレオン時代がわかる歴史マンガ】(前回の記事)のオモシロ参考文献を紹介します!

前回の記事でご紹介した通り、マンガ情報サイトに私の書いた記事を掲載いただきました。「世界史を勉強するならマンガを読もう!」というテーマで、以下のサイトでフランス革命~ナポレオン時代を描いた歴史漫画の紹介をやらせていただいています。 こちらを執筆するにあたり、フランス革命やナポレオン帝政時代について、もともと好きだった本を読み返したり、今回の原稿の為に新しい資料を買って読み込んだりしました。 前回の補足記事という意味でも、使用した参考文献・参考マンガの中でオススメなものを紹

知識を教えることは悪なのか?

世界史の先生と、1時間くらい教育について議論しました。 私の教育観もまだまだ浅いなと、率直に勉強不足だと感じた時間でした。 ポイントでお伝えすると、 「きちんとした知識が無いと議論は出来ない」という事です。 その先生は、県内No.1の熊本高校、No.2の済々黌、他には第二高校など、進学校でバリバリ教えられてきた先生でした。 アクティブラーニングという言葉ばかりが先行し、グループワークなとの活動が脚光を浴びているなかで、 知識を教える事が悪、

百田尚樹『日本国紀』が書けなかった日本近代史の真実とは?

はじめに:『日本国紀』が触れたがらない歴史の真実とは何か?(冒頭イラスト:筆者。下手くそですみません)  幻冬舎の社長と作家の津原泰水さんのトラブルが発端となって、再びあの『日本国紀』がメディアに注目されるようになりました。著者の百田尚樹氏によるこの書籍についての説明を、珍しいことに朝日新聞が載せたりもしています。  私は『日本国紀』に対していろいろな面で批判的なのですが、このnoteでは、『日本国紀』の内容の誤りや流用などの問題よりも、むしろ、「『日本国紀』が何について

奈良の都の七大寺 / Seven Great Temples of Nara

「ならあそび」の第5作目は、「奈良の都の七大寺」と題し、南都七大寺がテーマです。 南都七大寺は、平城京の時代にとても影響力の大きかった7つの寺院のことです。 東大寺や興福寺はとても有名ですが、7つ全ての寺院とその宗派、成り立ちまではあまり知られていないのではないかと思います。 今回は、個々のお寺の詳細というよりも、平城京という巨大な都市計画とお寺との関係や、現在のまちなかでは実感しにくい当時のお寺のスケール感などを知っていただけるように作りました。 個々のお寺について

《後編》アルマーニ/ シーロスにて開催、建築家・安藤忠雄の軌跡をたどる特別展:"Tadao Ando. The Challenge" in Almani/ Silos

後編は、2番目のメインテーマ「都市への挑戦」(Una sfida urbana)から始めることにする。 自身のことを「ゲリラ戦士」(guerilla fighter)とした安藤忠雄。 それは、モダニズムという建築のイデオロギーに反対したいからというよりも、安藤自身が変えたいものは、モダニズムの理論によっては完全には扱えないような矛盾に満ちた都市の実生活であるからなのであった。 数多くの個人の邸宅を設計してきた安藤であったが、それと同時に1990年代には多くの公共のプロジ

王の権力が強すぎたため生まれた「マグナ・カルタ」

前回、バイキングによって侵攻を受け、その後征服されたイギリスについて書いた。 ノルマン朝を建国し、国主となったウィリアム1世はそれまで4000人ものアングロサクソン貴族が治めていた領地を、200人のノルマン人貴族に与えることになったため、貴族の力が増し自身を脅かす危険性があった。 そこでウィリアム1世はイングランド国土の5分の1もの広大な領地を自身の領地とし、残りを貴族に与えた。 ここに強大な王が出現した。それは力を持つ貴族たちからの圧力に翻弄されているフランス国王

ベートーヴェンの史料改竄事件についてしゃべります

1977年、ベートーヴェンの貴重な史料にとんでもない改竄がほどこされていたことが発覚。しかも犯人は楽聖の腹心の秘書だった…!その動機はいかに!? ……という本『ベートーヴェン捏造  名プロデューサーは嘘をつく』(柏書房)を昨年秋に出版したのですが、 音楽業界を揺るがしたこのスキャンダラスな改竄事件について解説する講座が、6月13日夜に開催されます。 大筋は本の内容に沿いつつ…ですが、本のなかではお見せできていないビジュアル資料とか、紹介しきれなかった改竄箇所とか、犯人で

闇と孤独に怯えるクー・フリンの物語――コミック『HOUND』の紹介

今回は、アイルランド発のコミック『HOUND』について紹介しよう。例に漏れずガバガバ解説なので注意。 『HOUND』とは? 『HOUND』とは、アイルランドの英雄クー・フリンの物語を、アイルランドのアーティスト、ポール・ボルガーとバリー・デブリンが美しいビジュアルで描く全3巻のコミックである。 クー・フリンやメイヴ、フェルディアなどお馴染みのキャラクターたちも勢ぞろいだが、本作は伝承を斬新に再構成しており、誰も見たことがない「ダークな」クー・フリン伝説を描き出している。

第二弾 「国指定史跡 小牧野遺跡(環状列石を主体とする遺跡)

【第36回寺子屋塾特別企画 三内丸山遺跡縄文体験&名湯酸ヵ湯温泉ツアー】 第二弾 「国指定史跡 小牧野遺跡(環状列石を主体とする遺跡)縄文後期前半(約4000年前)当時の土木工事の実態を知る上で大変重要な遺跡だそうです。 環状列石は、埋葬、祭祀・儀礼に深く関わるもので、膨大な日数と労力をかけて作られており、縄文人の組織力を見せつけるモニュメントです。 小牧野遺跡は、そうした縄文時代の葬送・祭祀などに関わる精神生活、土地の造成や石の運搬などの土木工事の実態などを知る上で極めて貴

書評:日本の「開国」時期はいつか。-『明治史講義』を読む。

日本の開国年は1854年か?27日夜、国賓として訪日したトランプ米大統領夫妻を歓迎する宮中晩さん会が開かれた。冒頭、天皇陛下とトランプ大統領がそれぞれ挨拶され、筆者もその様子を中継で観ていたが、天皇陛下のお言葉に気になる件(くだり)があった。 筆者が気になったのは、文中の太字部分、すなわち日米和親条約の締結をもって日本の開国としている部分である。 山川出版社の『詳説 日本史B』を確認すると、第9章近代国家の成立の冒頭において、次のように説明されている。 一般に、教科書な

「Q:マンガを通じて歴史を勉強するってアリですか?」-「A:少なくとも私自身は大学入試で歴史漫画の圧倒的な効用を感じました!」(※他メディア活動の事前告知アリ)

前回、前々回と、以下のような記事をアップし、議論を深めてきました。 「『ビジネスコミックのつくり方』講習に参加し、「勉強する為のマンガ」という方向に力強い可能性を感じた話」 「韓国で2000万部売れた『科学漫画サバイバル』シリーズの海外展開に希望を見た話」 その続きとして「歴史をマンガで学ぶってアリなの?」という問題を今回は取り上げたいと思います。結論から述べると、私の経験から、少なくとも自分の人生ではおおいにマンガが役立ってきたと自信をもって言えます! ※あと今回は

ドラクロワとユゴーと

1814年のナポレオン没落後、フランスは王政復古の時代に入る。 24年までをルイ18世が、30年までをシャルル10世が王位に就いた。 この復活したブルボン王朝は、まるでフランス革命など、なかったかのように、貴族や聖職者を優遇し、市民は不満を募らせた。 シャルル10世は国内の不満をそらすため、1830年にアルジェリアへの侵略を開始。それでも不満はおさまることなく、シャルル10世は自由主義者の多かった議会を解散し、選挙権を縮小する勅令を発した。 これにより市民の不満は爆発。立憲

意味を生む置き換えを「彷徨わせる」こと−読書メモ『変成譜 中世神仏習合の世界』

 前回のnoteでは「神話」の思考ということを紹介した。  神話には、人間が動物たちの暮らす村に迷い込む話がある。動物たちが人間たちのように村をつくり、狩猟し、料理をし、家族の関係を結んだり仲間割れをしたりする。  神話の思考では、人間が動物になり、動物が人間になる。  神話に登場する主人公は、人間でありながら同時に動物であり、またその逆でもある。主人公は人間と動物の境界を超えて、異なるものへと変身する。変身しながらも、なんらかの同一の存在であり続ける。一身に、次から次へ

中近世のペルージャの美術・歴史を学ぶ:両替商組合の間(Collegio del Cambio)/ 商人組合の間(Collegio della Mercanzia)

他のヨーロッパ諸地域に比べて、中世において商業・交易が発展していたイタリア半島。 商業が盛んな町においては、商業・交易を担う市民たちが力を持ち、政治にも参入していた。 その市都市の中でも特に、商業、銀行、両替、羊毛業を担う人々のアルテ(Arte; 組合)やギルド(gilda; 同業組合)が、都市の中でも特に力を持ち、政治の舞台でも活躍していた。 ここペルージャにある両替商組合の間(Collegio del Cambio)と商人組合の間(Collefio della Me