マガジンのカバー画像

【図解】ゼロからはじめる世界史のまとめ

39
「ゼロからはじめる世界史のまとめ」の図解バージョンをお届けするマガジン。
運営しているクリエイター

記事一覧

SDGsとは一体、何だったのか?【世界史でよむSDGs】はじめに

いまや日本のSDGsは、空虚な「記号」である  2015年に採択されたSDGs(国連持続可能な開発目標)は、スタートしてから早9年目を迎えようとしている。  SDGsの実施年限は2030年だから、まだあと6年ちょっと、残されていることになる。  にもかかわらず「SDGsとは一体、何だったのか?」などと問うのは、ちょっと時期尚早ではないかと思われるかもしれない。  最初に筆者の立場を明確にしておけば、日本におけるSDGsはすくなくとも本来の趣旨に沿った受容には失敗している

ニッポンの世界史【第3回】世界史の「氾濫」

「教科世界史」は、なぜ暗記地獄化したか?  前回みたように、「科目」としての世界史は、戦後まもなくの混乱期に、学問的に深い議論が交わされることなく誕生したものでした。  そもそも学問としての世界史自体、未確立だったこともありますが、その輪郭が不確かであったからこそ、文部省の教科書調査官や歴史学者、教員、予備校講師、それに作家に至るまで、さまざまな人々の手が加わり変化し続ける余地ができた面というもあるでしょう(注1)。  とくに戦後まもなくは、教員がみずから世界史という科目

【第2回】ニッポンの世界史:日本人にとって世界史とはなにか?

「世界史」という科目は、どのようにして生まれたのか?  前回、1949年に「世界史」という科目がつくられたと述べました。  どのような経緯で「世界史」という科目が置かれたのでしょうか?  今回はちょっとお堅い内容にはなりますが、「科目世界史」がどんなふうに誕生したのか、その秘話をきちんと確認しておかねばなりません。  まずは戦後まもなくの状況を確認しておくことからはじめましょう。 戦後の新科目「社会科」  1945(昭和20)年9月2日、1945(昭和20)年9月2日、東

【はじめに】ニッポンの世界史:日本人にとって世界史とはなにか?

2010年代の世界史ブーム—疫病・戦争・生成AI  まもなく22世紀を迎える2100年の人々が21世紀初頭の世界をふりかえったとしよう。そこではどのような出来事がとりあげられるだろう?  「まもなく終わる21世紀」の幕開けにふさわしい出来事として選ばれるのは、いったい何になるのだろうか?  疫病の流行、大国による戦争、それとも生成AIに代表されるイノベーションか。あるいは気候変動、難民危機、持続可能な開発目標、新興国の台頭、あるいは権威主義やポピュリズムの拡大か—。  こう

小池陽慈著『現代評論キーワード講義』&『評論文読書案内』の使い方 【歴史総合編】

結論。小池先生の著作は、高校の地歴公民科の授業で使いやすい! ということで、わたしなりの紹介として、発売されたばかりの『現代評論キーワード講義』(三省堂、2023)に加え、『世界のいまを知り未来をつくる評論文読書案内』(晶文社、2022)を合わせて、使い所を整理してみました。ジグソー学習などのワークシート等で引用したりする際にも、便利であるとおもいます。 読むキーワード辞典というジャンルでいえば、今村仁司の『現代思想を読む辞典』がパッと浮かびます。受験生向けという点では、

【いまどきの世界史教科書?】表記が変わった用語

前回にひきつづき、新科目・世界史探究の教科書(山川出版社『詳説世界史探究』)において表記の変更された用語を紹介します。 (旧)は最新版の『詳説世界史B』の索引項目で、(新)はそれがどう変化したかを示しています。 変更の理由は学説の変化によるものもありますが、その文字ほんらいの音や現地語の発音に忠実なものとするための措置も少なくありません。 マホメットと呼ばれていたイスラーム教の開祖が、1990年代以降は原音に近い「ムハンマド」に変更されたように、ヨーロッパ以外のアジア、ア

【いまどきの世界史教科書?】増えた用語 消えた用語

3月も残りわずかとなりましたが、新年度の授業準備をあれこれとしています。 あたらしい教科書が届くと、前の版との違いをなんとなく確認するのが習わし。とくに今回は新しく設定された「世界史探究」という科目があるため、わけがちがいます。気合を入れて異同をチェックしてみると、これが結構変わっている。 たとえば、 といった具合です。 今回は索引をベースにし、山川出版社の『詳説世界史B』の最新の版と『詳説世界史探究』を比べ、消えた用語と増えた用語を確認しました。 デジタルで全文検

歴史のことば No.19 「今日の気候変動は別の意味で歴史の産物でもあるのだ。」

人新世という言葉が、だいぶ知られるようになった。 自然科学の用語なのだから定義がしっかりしているのかといえば、そういうわけではない。学術的には、かなり込み入った論争を含むやっかいな言葉でもある。 だが、「人間が地球におおきな影響を与える時代」という意味として、おおかた流通しているようだ。 すべての流行語がその道をたどるように、言葉の送り手と受け手のあいだで、必ずしも意味の一致をみないものの、それとなく流通している。そんな「言語ゲーム的状況」にあるのが、現状の「人新世」の使わ

【全文無料】 世界史の教科書を最初から最後まで 【#世界史教科書完全攻略マップ】

世界史の教科書って、わかりにくいですよね。 複数の「エリア」が組み合わせられる構成は、難解な“取扱説明書”のようでもあり、時代によって揺れ動く落ち着きのない “パズルのピース” のようでもあります。 とっても合理的に設計されている反面、そのつくりがきわめてややこしいことはたしかです。 しかしながらそうは言っても、どうしても教科書を使って勉強をしなければいけない方もいるでしょうし、機会さえあれば小手先ではなく真正面からガッチリと通史を学んでみたいという人も少なくな

【26の図解で学ぶ】世界史のまとめ

◉全文無料 「【図解】ゼロからはじめる世界史のまとめ」のまとめです。  26の時代の「つかみかた」をおおづかみにまとめてあります。  異なる時期に作成したものが混ざっています。細かいところもかなりありますが、難易度、フォーマットや形式は順次統一していく予定です^^ 【1】約700万年前~約12000年の世界 人類が誕生し、テクノロジーと「心の世界」が発展する 「人類」が他の「類人猿」から枝分かれしてから 氷期が終わるまでです。 今後の研究によっては「7

【図解】約700万年前~前12000年 これならわかる! ゼロからはじめる世界史のまとめ①

「【図解】ゼロからはじめる世界史のまとめ」の改訂版です。  不定期連載ですので、よろしければマガジン登録してください。  これから世界史を26ピースに「輪切り」して、一緒に人類の歴史のストーリー展開を眺めていきたいと思います。(イラスト from 「いらすとや」) われわれとは別の種類の「人間」人間ってもともとはサルだったんですよね? ―難しい質問だね。  まあどちらかというと、「サルのグループの中に人間が含まれている」といったほうがいいかな。  生き物には、自分の

【図解】これならわかる! ゼロからはじめる世界史のまとめ㉖ 1979年~現在の世界

◆ソ連が崩壊する ―この時代には、ソ連がすすめてきた社会主義の国づくりが崩壊し、ソ連グループ自体も「解散」を迎える(注:ソ連の解体)。 じゃあ、アメリカの「一人勝ち」ですか? ―誰もが一瞬はそう思った。  たしかにアメリカは世界中に軍事力を持っているしね。 日本にも米軍基地がありますよね? ―そうだね。  それに大西洋のど真ん中にも、インド洋のど真ん中にも、太平洋のど真ん中にも米軍基地は存在する。  だけど、ソ連型の社会主義が失敗して、地球上「どこでも自由にビ

【図解】これならわかる! ゼロからはじめる世界史のまとめ㉕ 1953年~1979年の世界

世界の歴史を26ピースに「輪切り」し、人名を登場させずに「大きな流れ」をつかむシリーズの第25番目の時代。 1953年~1979年の世界は、超大国であるアメリカとソ連の影響力は継続するものの、国際関係はその枠にはまりきらない「複雑さ」をみせるようになります。アジア、アフリカでは多くの国が植民地から独立し、未来に向かって一歩前進しようとするのですが― 「植民地だらけ」の世界が崩壊し、アメリカとソ連の「にらみ合い」が続くが、国際関係が複雑化する時代 ―この時代、国連からのプッ

【図解】これならわかる! ゼロからはじめる世界史のまとめ㉔ 1945~1953年

 全時代・全地域を26ピースに「輪切り」し、人名を使わずに世界史をまとめていくシリーズ。  今回は世界史のまとめの24ピース目、ちょっと短いですが重要な段階にあたる1945年~1953年の世界を扱います。  2度目の世界大戦が終わっても、「戦勝国」の連合軍は「平和維持組織」として存続しますが、そのメンバーであるイギリスのステータスが急落、代わってアメリカとソ連が世界の覇権をねらい陰に陽に対立するのですが―。 2度目の大戦争が終わり、核兵器を持つアメリカとソ連の対立がはじまる