マガジンのカバー画像

【ライブラリ】notes

3,192
Excellent curation of the noters, a truly inspiring compilation of content:
運営しているクリエイター

2019年7月の記事一覧

みんなが差別を批判できる時代ーーアイデンティティからシティズンシップへ

 『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、2200円)が7/18発売されて以来、さまざまな反響をいただいています。読者にも恵まれ、発売後即重版が決定、電子書籍版も発売されました!(8/30追記、3刷になりました!10/03追記、4刷になりました!) 今回、本書全体の見取り図となる「シティズンシップ」と「アイデンティティ」の論理を説明した「まえがき みんなが差別を批判できる時代ーーアイデンティティからシティズンシップへ」を公開します。  『「差別はいけない」とみん

「もっと大きなお金を流すために」個人に加え企業も実行者をサポートする「READYFOR SDGs」をスタートします。

クラウドファンディングの実行者、挑戦する人たちに、もっともっと大きなお金を流したい。そして、世の中に想いの乗ったお金を増やしたい。 私たちREADYFORは、ずっとそんな願いを持って、新たなお金の流れをつくる仕組みを構築するため、試行錯誤を繰り返してきました。ようやく、その願いが実現する日がやってきたのです。 2019年7月29日、READYFORは、クラウドファンディングに、企業による支援金を乗せるマッチングギフト「READYFOR SDGs」をスタートします! マッ

Nサロン1期の振り返りと2期に向けた意気込み

2019年7月11日(木)、いよいよNサロン2期が本格的にスタートします。 1期生としてNサロンに入り、たくさんの学び、出会い、変化がありました。 あまりにも駆け足だったので、「振り返り」の時間を持つことができていませんでしたが、2期が本格始動する前に、1期の振り返りと、2期に向けた意気込みについて、語りたいと思います。 Nサロン1期の振り返りなぜNサロンに参加しようと思ったのか? 事前選考の志望動機には、次のように書いていました。 Nサロンにエントリーさせていただいた

世界の広告に学ぶ「バズるアイデア」の生み出し方その1|特長を誇張してみる

はじめまして。Twitterで世界中の広告アイデアやデザインを紹介しているINSPI(インスピ)と申します。 https://twitter.com/inspi_com noteでは〈世界の広告に学ぶ「バズるアイデア」の生み出し方〉というタイトルで、世界中の優れたアイデアがどのように生み出されているのか事例を交えて複数回に渡り、紹介していきたいと思います。(この記事はその連載第1弾となります。) ■その商品(サービス)の特長や、使用するメリットを誇張する 海外の広告で

「たぐい vol.1」を読んで

「たぐい vol.1」を読んだ。 読んだまま忘れてしまうのも勿体ないので感想を書くことにした。 マルチスピーシーズ人類学の試み本書は「マルチスピーシーズ人類学」の研究にかかわる方々による思想誌である。 従来の人類学は人間を扱う学問であり、周囲の環境は人間が関係する「対象」として捉えられてきた。 それに対して、「マルチスピーシーズ人類学」は人間のみならず、複雑な世界を動的に、かつ複数種との関係の在り方を相互的なままとらえるようとする学問である。世界を有機的なままとらえる方

カルピスとアフタヌーンティーのコラボ買ったよ

加藤浩次には狭すぎる

 加藤浩次とは二年間、毎週木曜日の朝に彼が司会を務める日本テレビのワイドショー『スッキリ』で同席していた。  よく、ケンカしていた。  というか、基本的にワイドショーは議論すると悪評が立つので(まったくもってどうしようもないことだと思うが)、僕以外の誰も意見を述べていなかったように思える。だから森圭介アナウンサーも、コメンテーターの坂口孝則さんも、もちろんたいていのことについては意見を(それもかなり鋭いものを)持っているが、森アナは立場的に進行の管理に、坂口さんは議論の前提と

iPhoneの開発秘話を通し、デジタル機器に覆われた世界の「いま」を描いた書

何気なく読み始めたら、寝る間を惜しむほど引き込まれ一気に読んだ。 本書『ザ・ワン・デバイス』は、もはや説明不要あのiPhoneの開発秘話である。 それだけだと、単なるヒット商品を生み出した企業のサクセスストーリーに過ぎないが、本書の面白さは、今や人類の必需品になったiPhoneがどこから生まれ、何でどう作られているかを世界中を駆け回り調べていく構成だ。いわば、開発秘話を縦糸とし、iPhoneを生み出す世界を横糸にした、現代のテクノロジー化された世界の様相を描いていることであ

vol.53 G・ガルシア=マルケス「予告された殺人の記録」を読んで(野谷文昭訳)

今から68年前、日本から約13,000キロ以上離れたカリブ海沿岸の田舎町で、実際に起きた殺人事件に思いを巡らせた。 1982年度のノーベル文学賞を受賞したコロンビアの作家、G・ガルシア=マルケスの作品。 これは小説として作られているが、新潮解説によると、実際にあった事件を元々はルポルタージュとして世に出される予定だったとのこと。語り手の「わたし」が、人々の記憶や裁判所の調書を調べ、約30年前の事件の全貌を体系的に明かすという構成になっている。 <あらすじ> 鉄道も通って

RADWIMPSによる『天気の子』の“音楽”を読み解く

以前にも新海誠監督の「『君の名は。』を音楽から読み解く」という趣旨の投稿をしたのだが、今回は3年ぶりの新作となる『天気の子』の音楽を分析してみたいと思う。 この分析をお読みいただければ、新海誠監督とRADWIMPSのコラボレーションは前作以上に密なものとなっており、音楽が物語構造を支える重要な柱を担っていることがご理解いただけるはずだ。主なポイントは3つ―― 1)既存の「劇中使用曲」を使う意味 2)前作風の音楽によって何を伝えるか? 3)「歌詞付きの歌」が登場するまでのプ

徹夜明けに、知らない人とウイグルを旅した日々のこと

 徹夜明けに、知らない人と新疆ウイグル自治区へ旅行に行った。砂漠の中で仕事をして、夜行列車の窓からふるような星空を見て、廃墟の温泉で死ぬほど笑って、塩辛いミルクティーを飲んだ。  気が狂いそうなほど美しく、ありえないほど公安だらけの街で過ごした10日間の話。 怪しいインビテーション・フロム彼方 夏休みに、知らない人に誘われて、知らない人たち5人と、知らない国の知らない場所を旅することになった。twitterで、今まで全く交流がなかった人から突然誘われたのだ。なぜ誘われたの

バカにせず、バカになる。

「バカにせず、バカになる」。今のぼくのテーマだ。「バカにする人」と、「バカになる人」の違いについて考えてみました。 バカにする人は口先を動かす。バカになる人は手足を動かす。 バカにする人は常識を語る。バカになる人は常識を揺らす。 バカにする人は上ろうとする。バカになる人は進もうとする。 バカにする人は地位を得る。バカになる人は賛否を得る。 バカにする人は爪を立てる。バカになる人は問いを立てる。 バカにする人は鼻で笑う。バカになる人は鼻で歌う。 バカにする人はだん

思いがあって始めた事業を、諦めたくない人たちにすすめる経営ゼミのこと

さゆちゃむです。NPO法人Collableの代表です。 単刀直入に書きますが、マザーハウス代表取締役副社長の山崎大祐さんが主催する経営ゼミの3期の告知が始まりました! 私は1期で参加していまして、その時の体験記がこちらです。 その後、2期で運営に関わり、3期もひとまず事務局として役割をいただくことになりました。 (私も本業があり、この運営もボランタリーにかかわっているので、本業が増えたわけではないです) 2期は、1期から倍の人数の人が参加してくださり、1期と比べて内容

SNSの時代に本を書くということ・・・新書「ヒトラーの時代」に思う

中央公論新社から新書『物語オーストリアの歴史』を上梓してからほぼ一ヶ月半が経過した。私にとって四冊目の単著であるが、今回の本は、オーストリアの歴史を、各州の地方史の視野に降り立ちながら、通史としてもある程度フォローできるようにという大変高いハードルを課されたという意味で、これまでのように、自分の専門領域のストライクゾーンの範囲内で構想し、執筆するパターンとは全く違った作業だった。そして、ウィーン文化史を専門とする私にとって、地方史の細部を掘り起こすのは、気が遠くなるような根気