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【ライブラリ】notes

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2019年8月の記事一覧

主体性と悪意とハンロンの剃刀

自己や他人の主体性について、悪意とハンロンの剃刀の話題をネタにして整理してみます。世界モデルの恣意性も合わせて考えることで、問題の在り処がだいぶはっきりすると思います。 (2022-07-09 読みやすさ向上のため、主旨が変わらない範囲内で少し書き直しました。) ハンロンの剃刀とは事例1:前から来た男がすれ違いざまに水たまりにばちゃーっと足を突っ込んだせいで自分のズボンが泥をかぶり、相手から「あーーっゴメンナサイーッ」と謝られた。 事例2:同じ会社の新入社員から送られてき

エシカルデザインの概況

エシカルデザインとはエシカル(ethical)は「倫理的な」という意味。「エシカルデザイン」とは「倫理的なデザイン」というコンセプトです。 まだ明確な定義はなされていないと思われますが、海外に目を向けるといくつかの組織やデザイナーたちが、"エシカル"というキーワードを掲げて、その取りくみについて宣言をしている様子が見受けられます。 参照:https://2017.ind.ie/ethical-design/ ソーシャルメディアのエシカルデザインソーシャルメディアにおける

【トルコ・ギリシャの国境を訪ねて】

Merhaba! トルコ拠点の吉田瞬です。 本格的な夏を迎え、陽が燦燦と照り付けるイスタンブールより、 今月の体験談をお届けします! 前回は太陽に愛される南の絶景地中海リゾート、アンタルヤの魅力を紹介しました。 今回は、旅行編第2段「ギリシャとの国境を訪ねて」と題し、 トルコの古都エディルメの魅力とギリシャとの国境について紹介したいと思います。 1 オスマン帝国の古都・エディルメ Semiliye Cammi, Edirme エディルメは、イスタンブールから西へ車

ひとが文章を書き始めるとき

ちょっと盛大なタイトルになっているけど、文章論とかではなく、我が家の5歳11か月の娘が文章をかきはじめたぞ、というはなしです。 たびたび書いていることだけど、私たち家族はニュージーランドに住んでいる。この国は5歳から小学校に入学できる。「できる」と書いたのは、5歳から6歳の間に学校に通い出せばいいという仕組みだからだ。「いつ」入学するかの意思決定は、各家庭にゆだねられている。 娘は昨年9月に小学校に入学した。気づけばもう1年近く。 日本で義務教育を終えた私は、この国の5

「観光の哲学」を求めて

今月25日から、三重県の御浜町に行くこととなった。以下はその前に書いたもの。  私は哲学を勉強している身として、観光とは縁がないと思っていたが、考えてみるとそうでもない気もする。私が行く土地、いる土地すべてに、なにかしらの形で観光が関わっている。そして、それぞれの土地には独自の「観光の哲学」というものが存在していると思う。ここでは、私が観光客として瀬戸内海にある豊島と私が住んでいた静岡県の沼津市に注目して、観光と哲学のつながりをみる。そして、そのうえで私が御浜町で/にできる

著者と読む『ニック・ランドと新反動主義』読書会

 闇の自己啓発会は、8月4日に都内某所で木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』読書会を行いました。  トーマス・ラッポルト『ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望』と二本立ての予定でしたが、気がつけば、木澤さんの新書の内容で話がほぼ持ちきりに…。  今回は役所さんがおやすみだったのですが、編集者の不在もあってか話は暴走状態に。話の配分が前回以上にバランスのくるった分量になりましたが、ともかく読書会の模様をお伝えしていきます。 【注意】本記事では新海誠監

ウチらずっと戦友だよ。 |kemio『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』

お久しぶりでございます、眞野いるかです。 今日ご紹介するのは全てのページに復唱したい名言が散りばめられており、読み終わって人生頑張ろうと思えるkemio『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』です。 正直kemioのことはあまり知らないまま、タイトルを気に入って手に取ったのですが......これが大当たりでした。大事な本になったし、なんならkemioのyoutubeチャンネル登録までしちゃったよね。 わたしの推しポイントは3つ。 ①ゴクゴク読める、絶妙な言語センス「飲める本

合理的に考え、人の役に立とうとした人――書評『岩田さん』

お会いしたことはなく、その輪郭程度しか知らない岩田聡さんについて書かれたのが本書『岩田さん』である。 大学時代からプログラミングにのめり込んだ岩田さんは、HAL研究所の創業メンバーとして働き出す。やがて同社は経営不振となり社長を務めることになった岩田さんは、5年で経営を立て直す。その後は任天堂の社長として、ニンテンドーDSやWiiの成功を導く。プログラマーとしても伝説的な話が多い。4年の歳月をかけて完成しなかった「MOTHER2」の開発に助っ人として加わり、半年で作り直した

教養として知っておきたい「編集」の基本①:そもそも編集ってなに?

はじめまして。編集家の松永光弘と申します。 ぼくは15年あまりにわたって、日本を代表する広告制作者やデザイナーといったクリエイターと呼ばれる人たちの本を数多くつくってきました。そして、そこで得た知見や編集者としての気づきをもとに、ここ数年は出版にとらわれることなく活動の領域を大きく広げて、編集家として「世の中に編集を生かす」をテーマに企業のブランディングや広報、学校づくり、イベントの企画、講演・司会、パーソナルセッションなど、日々、さまざまな「モノやコトの編集」に取り組んで

店のメニューにはない「タラコスパゲティ」を注文できる人になるまでの話。

有名な料理にはそれなりに、客にまつわるエピソードがあるものだ。 ポテトチップスは「ジャガイモをできるだけ薄く揚げろ!できるだけだ!」と言った客に、店が意地になってフォークでさせないほどの薄さで揚げて出したら逆に喜ばれてしまってできた、とか。 ラーメンの麺が残っていたので、店員がまかないとして、濃い汁でモリソバのように食べてたら、客が「それうまそうだ、俺にもくれ!」と言われ「つけ麺」が誕生した、とか。 スパゲティ屋で「キャビアでパスタを作ってくれ!」と頼まれて作ってみ

小倉ヒラクさんと旅した、沖縄発酵探訪記

発酵デザイナーの小倉ヒラクさんが沖縄にやってきた。私は先月まで開催されていた発酵の展覧会のイベントでヒラクさんに声をかけていただき、簡単発酵料理レッスンの講師を担当させてもらった縁で、沖縄の発酵探訪にご一緒させてもらった。ヒラクさんに発酵の現場を案内してもらう貴重な機会に恵まれたので、道中の記録を書き残しておきますね。 たった一日(8時間)で味噌蔵、泡盛蔵三つ、種麹屋、合計5つを巡るハードスケジュールな発酵旅。行った先々で「次訪れるべきはどこか」を聞いて次を訪ねる、行き当た

(本なんて人それぞれ好きに読めばいいんだけど)ビジネス書の読み方と吸収法をまとめておくぞ

やるせなくなったので書く。 一昨日の晩、何気なく、「若者よ。Twitterもいいけど本を読め。年に100冊。じゃないと普通で終わるぞ。」ってツイートしたのですよ。そしたらなんかチロッと小バズが起こりましてね。 僕がつながっているマーケ界隈じゃない人たちがRTしたこともあって、いつもは袖触れ合うことのない方々の目にも留まったんでしょう。 「冊数で論じるのはナンセンス」「本読んだだけじゃ思考力は養われない」「こういうこと言う奴に限ってTwitterがない時代に若者時代を過ご

『天気の子』考察批評評論まとめ

映画『天気の子』の考察・批評・評論で、重要なものを15件掲載します。特に戸谷洋志先生の「なぜ帆高は「僕たちは世界を変えてしまった」と2度言うのか──『天気の子』における自然と責任の衝突」を強くお薦めします。 検索用キーワード 天気の子 考察 批評 評論 レビュー ネタバレ 評価 参考文献 論文 研究 新海誠 監督 RADWIMPS 野田洋次郎 インタビュー まとめ セカイ系 ポリコレ 街河ヒカリ  ※2019年9月8日に、渡邉大輔先生による「父の不在と狂気の物語──『天気

「オンライン取材歓迎!!」始めました

 ある時、取材をしてもらいながら思ったんです。 「これ、対面じゃなくて良くね?」と。  取材してもらってるのに、なんて傲岸不遜なヤツなんだ、と思われたら嫌だ、と思ってその場では言わなかったんですね。  でも、話してる内容の半分くらい僕のブログやSNSに書いてある内容で、それを読んでもらっていたら15分くらいで終わりそうな話だったんです。  そしたら、そのためだけに記者さんに来てもらうの、すごく悪いな、と。ここまでの移動時間の方が長いじゃん、と。  しかも15分で済み