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【ライブラリ】notes

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2019年10月の記事一覧

〈動員-交易-地縁〉現代都市の考古学

 14世紀にエジプトを訪れた一人のヨーロッパ人は、こう記している。「ひとつのピラミッドの中腹に、表層の石をはがし、下へころがり落としている石工たちを我々はみとめた。…この表層の石をはぎとる作業は、千年以上も前から始まっているということだ。」  ピラミッドは主に近隣から切り出された石灰岩からなるが、かつてその表装は赤や白の花崗岩で覆われていた。この巨大な人工の「山」からは、有史以来絶えず、特に利用価値の高い花崗岩が「採石」されていたのだ。  ピラミッドが立地する下エジプトでは、

こうして人は依存する(あるいは、依存先を分散させることについて)

友だちや仕事関係のひとたちと居酒屋で飲んでいるとき、スマホの画面を上向きにしたままテーブルに置くくせがある。ちょっと行儀は悪いけれどそんなに珍しいことでもないので、気にせずにスルーしてもらえることが多い(と思う)。 ただ、一度だけ、「シホさんってLINEの通知がくるとなんか怖い顔しますよね」と指摘されたことがあった。そのときは「気づかなかった、ごめんなさい」と謝ってスマホをしまったのだけれど、怖い顔をしているという自覚はなくても、そう言われた理由には正直心当たりがあった。

「ポーランドwww 確かにそれは需要ないです」

「どうしてポーランド語にしたの?」 と僕はよく聞かれる。 僕の場合、その理由は歴史にある。高校生の頃、世界史の授業を通してユダヤ人の歴史を知り、そこからポーランドという国に興味を持つようになった。 しかし、「ポーランドに行ってみたいな」と思わせてくれたのは、ポーランドの音楽だ。ピアノを習っていた弟が参加したピアノのコンクールで聴いた『子犬のワルツ』、そして『英雄ポロネーズ』に魅了されたとき、一度でいいからショパンの国に行ってみたいと僕は思った。 それで今の大学のポーラ

【序章公開】なぜ今更出版するのか #五味ちゃん本

なんだかんだ、私が事業として最初に取り組んだ"feast"を立ち上げてから丸5年以上経ってしまいました。 これだけテレビとかラジオとか出ておいて、出版の話が来ていないはずもなく、でもなぜ今まで一冊も出していないかというと「自分に何かを語る権利などないのではないか」と思っていたからです。びっくりするほど、頑なにお断りしてきました。 ただ、今回、11/28にKADOKAWAさんから初の著書を出します。 年商1億を超えるまで本は出さないと言っていましたが、結局まだ年商1億超え

売上・利益も全公開!飲食業素人、デザイン会社の僕らがストリートバー"LOBBY"を始めたらこうなった

こんにちは。井澤卓と申します。株式会社and Supplyという会社で代表をしています。 & Supplyは、すごくシンプルに言うとデザイン会社です。企業向けにロゴやグラフィックを制作したり、壁画を描いたりしています。 そんな僕らが最近池尻大橋にバーを開きました。LOBBYというお店です。なぜデザイン会社が飲食業を始めたのか、実際経営状況はどうなのか。"ストリートバー"という新しい業態名を掲げて始めたこのお店について、これからnoteに綴っていこうと思います。 「いつか

写真家 Luigi Ghirri -フィクションと現実の狭間

ルイジ・ギッリ(Luigi Ghirri 1943 – 1992 イタリア) イタリアの芸術家であり、現代のカラー写真のロジックの先駆者の1人、また、写真家以外に、キュレーター、ライター、出版として多彩な活動を行った。ギッリは1970 - 80年代にかけて、フィクションと現実の関係に関するプロジェクトを推進した、それは、何の制約もない自由な展開だ。 そのイメージには、時代の変化に翻弄されていた時代の日常生活の空間への共感・共存を感じる。写真家としての活動期間は短いが、重要で多

飲める脂の乾塩ベーコン【レシピつき】

こんにちは。 豚野郎こと山西牧場の倉持です。 私たちがお届けする加工品に乾塩ベーコンという商品があります。 ・スライス(3mm厚)200g ・厚切り(6mm厚)200g ・極厚切(1cm厚)300g ・ブロック300g ・ブロック500g 5つのパッケージをご用意して不定期(2ヶ月に1回)で販売しております。 1kgあたり約10,000円の価格は 「ベーコン」という商品においては市販品の約2~5倍。 「ベーコンで1kg/1万円なんて」と言われてしまうかもしれません。だから

1ページ漫画「献立に10分以上悩んでいると、カゴにカレーの材料が放り込まれるスーパー」

宗教なき時代の宗教としての世界征服【書評】 #13歳からの世界征服

 刺激的な本が登場した。イスラム法学者として名高い中田考先生が「少年少女の悩み相談を受ける」という一見荒唐無稽な本は「なぜ人を殺してはいけないのですか?」というよくある青少年の問いに、「人は人を殺してもいい」と答えるところから始まる。その心は?  いかにも炎上しそうな始まり方だが、毛沢東やスターリンが権力者として何百万の人を虐殺した歴史を引用し、中東の専門家として、いま現在も世界中でたくさんの人が殺され、誰もその責任を取っていない現実を指摘しながら、「動物は基本的には同種を

海のむこうの小さな街のシアターにて

小さな仕事部屋で、窓の外の風にゆれる巨木の枝を見ながらパソコンに向かっていると、自分が異国にいることを忘れそうになる。 私はニュージーランドに暮らしていて、夫は日本人で、娘はこの国で生まれて育つ6歳の小学1年生。 親の私が知る感覚とは、異なる社会で育つ彼女。 娘が小学校に入学する前、私は彼女が「新しい環境になじめるのかな」と心配していた。いまのところ、親の不安はどこ吹く風で、娘は毎日笑顔で過ごしている。 靴を履いて登校したのに、なぜか帰りは裸足で教室から飛び出してくる

どのようにノンヒューマンへの共感を育めるだろうか?

人間中心主義を脱する流れというのは昨今の大きなテーマにある。Ego-centric(人間のエゴ)からEco-centric(生態系)へのシフトの必要性は、ぼくが学ぶAalto大学の初日の基調講演の1つでも声高に叫ばれた。 ラトゥールを代表とするアクターネットワーク理論(ANT)は人間と非人間を等価なアクターと見なして、互いの関わり合いから社会を捉え直すための強力な理論であり思想の1つだと思う。そこでは人間はネットワークの外側に位置して制御や観察を行う主体ではなく、私たち自身

「生野菜のサラダ」という幻想が生み出す、社会のムダについて。

生野菜を食べるなんていう、たかだかこの数十年の流行り(ブーム)さえなくなれば、農業や流通のあらゆる課題が解決するのよね、という話。 生野菜のサラダが健康に良い? まずコレね。極めて効率が悪い。野菜の栄養やエネルギーなどが一番吸収されない食べ方なのは明らかだ。 ではナゼ、生野菜のサラダがこんなにも広がったのか?それは逆説的だけど、肉食や魚食が広まったから、だ。 炭水化物はもとより、脂質や蛋白質が過多な食生活が広がってきたことを背景に、(あえて人にとっては消化の悪い)植物繊

「反出生主義」特集を瞥見しての断想

「反出生主義を考える」という特集が組まれた『現代思想』を買った。全部は読んでいない。いくつかの論考を眺めた程度だ。知り得たのは、いま哲学では下記のような問いが真面目に議論されているということだった。 ・生まれないほうが良かったのか。 ・翻って、生まれないほうが良いような世界に子どもを産み落とすのは悪なのか。 ・人類全体として、ゆっくりと絶滅に向かうのが善なのか。 このnoteを書き始めたのは、この議論の整理を試みるためでもなければ、自分の意見を表明するためではない。僕

年1冊が限界だったのに、頭が良くなりたい思いで月30冊読めるようになった。

朝活読書会を初めて、約2ヶ月が経とうとしています。この2ヶ月でざっと180冊以上には触れ、実際に自分で読んだ本は50冊くらいかなと思います。(途中から数えるの忘れてしまいました・・・) 私は、もともと早起きが苦手で読書もしない人間だったので、朝活読書会に対しては全く乗り気ではありませんでした。しかし、本を読んで知識が増えることや、世界が少しずつ変わって見えてくることが面白くて、今では毎日、楽しんで読書をしています。 嫌なことがあっても本のおかげで忘れられるし、本に支えられ