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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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#エッセイ

モモ【2】 インド化したモモ

その日、私はデリー市内にある巨大ショッピングモールのフードコートにいた。好調なインド経済を象徴するように、大勢の買い物客たちがさまざまな店でショッピングを楽しんでいる。もちろん、広大な席数を誇るフードコートも、昼時ともなれば大勢の食事客が集まり、下手をすると席の確保すら難しい。何とか確保した一席に座り、さて何を食べようかと居並ぶテナントの看板をぐるり見回した。すると黄色地に黒と赤で店名が書かれた、よく目立つテナントが目に入った。Wow!Momoである。 Wow!Momoはコ

カザフスタンの世界遺産は、何もない大草原だった

その朝、ホテルで簡素な朝食を食べながら、そこへ本当に行くべきかどうか、迷っていた。 春のカザフスタンの旅の途中、タラズという小さな町で迎えた朝だった。 何もなさそうな町で1泊してみるのもいいかもしれない……と立ち寄った町だったけれど、そのタラズは想像以上に、何もない町だった。 前の日の夕方、カザフスタン鉄道をタラズの駅で降りても、どうやら観光客は僕一人しかいないようだった。 駅を出て、夕暮れの町を歩き始めても、心を動かされる風景は何もない。 陰鬱な曇り空の下、彩りを

発酵でSDGs!マラウイの「とぶぁ」と千葉県上総地方の「とうぞ」

マラウイの発酵飲料「とぶぁ」マラウイの路上で暑い日に、リユースのペットボトルで売られている、少し黄色みがかって白濁している飲み物がある。「とぶぁ(Thobwa)」という手作り発酵飲料だ。500mlで50MK~100MK(10〜15円)。路上で売られているのをときどき買った。 「とぶぁ」は、メイズ(トウモロコシ)、ソルガム、ミレーなどの穀物が原料で、砂糖で味を調えてある。放っておくとアルコール発酵し「ビール」に変化することから、英語では「SWEET BEER」とも呼ばれている

【ニッポンの世界史】第16回:授業時間が足りない?—就職者にとっての世界史

A科目とB科目に分かれるまでの世界史の変遷  1960年度指導要領で就職者向けのA科目と進学者向けのB科目に分かれた世界史。A科目は週3時間、B科目は週4時間が標準とされました。  前回の1956年度学習指導要領では、社会科に「社会、日本史、世界史、人文地理」が設置され、このうち高等学校の社会科は日本史、世界史、人文地理から2科目は必ず履修することになっていました。  しかし1960年度指導要領では、社会科として「倫理・社会、政治・経済、日本史、世界史A、世界史B、地理

【はじめに】ニッポンの世界史:日本人にとって世界史とはなにか?

2010年代の世界史ブーム—疫病・戦争・生成AI  まもなく22世紀を迎える2100年の人々が21世紀初頭の世界をふりかえったとしよう。そこではどのような出来事がとりあげられるだろう?  「まもなく終わる21世紀」の幕開けにふさわしい出来事として選ばれるのは、いったい何になるのだろうか?  疫病の流行、大国による戦争、それとも生成AIに代表されるイノベーションか。あるいは気候変動、難民危機、持続可能な開発目標、新興国の台頭、あるいは権威主義やポピュリズムの拡大か—。  こう

Museu Picasso──バルセロナのピカソ美術館

 スペインの偉大な画家の絵は、どれも無言のまま語りかけてくる──晴れたり曇ったりするなか、予約していたピカソ美術館へ家族三人で向かった。ピカソの『El Piano(ピアノレッスン)』という絵の前で妻は立ち止まって、しばらくじっとその絵を見つめていた。 *  祖母の母国、スペイン。11月上旬からスペインに赴任している。いまのアパートが見つかるまで間借りさせてもらった叔父に、「予約していないと並ぶ羽目になる、公式サイトで予約が良い」と聞き、そのとおりにし、美術館は午後見学する

アショーカ王の亡霊 "今"と"過去"をつなぐ世界史(7) 前400年〜前200年

インドの国会議事堂で、何が起きているのか?  今年2023年、インドの国会議事堂「サンサド・バヴァン」が改修された。そこで物議を醸したのが、モディ首相のお披露目した、ある壁画である。 壁画の名は「アカンド・バーラト」、英語ではUnbroken India、「分裂されていないインド」である(★1)。  モディ首相はBJP(インド人民党)出身で、ヒンドゥー教中心のインドを建設することに熱心だ。イスラーム教徒とイギリスの侵入する前のインドこそ、本当のインドである、というのが基

カフカをめぐるプラハ旅行記

2017年の秋にプラハへ旅行に行ってきました。まだ日本は暑く薄着のままでオランダ経由でチェコに行きました。航空会社はKLMです。 前の座席についているタッチパネル式のディスプレイがあまりにも高性能で驚きました。昔は壊れてる座席があって点かなかったり、音が出なかったりして、使えても映画を見たり、落ちゲーみたいな簡単なゲームしかなかったのに、今では世界各国の音楽やラジオが聴けて、スマホの充電ができるようにUSBポートがあって技術の進歩を感じましたねー。特にいつもは安い飛行機で移

世界一周をした祖父の話

僕の祖父はこつこつと貯めたお金で世界を飛び歩いていました。その記録がアルバムや旅行記として大量に残っています。出版した訳でもなく、特に知人に見せびらかす訳でもなく、単純に趣味として、言わば祖父の自己満足としてアルバムや旅行記を制作していました。 世界旅行記「私のヨーロッパとびある記」は文章、記録、写真、挿し絵、そして編集まで全て祖父の手作りの一冊です。この旅行記は僕にとって宝物であり、当時の祖父の生きた記録が鮮明に残されています。 祖父は世界旅行でオーストラリアやニュー

絵画とファッション 「スコットランド国立美術館展」で描かれた衣装について。

土曜日の夜にスコットランドへ行ってきました! といっても実際に行って来たわけではなく、「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展を観に行ったのです。(2022年9月25日まで神戸市立博物館にて開催中) そこで今回は、展示された絵画たちを「衣装」という切り口で鑑賞してみました! 北国を彩る巨匠たちサタデーナイト・フォトアワーですって!?会場となった神戸市立博物館では、「サタデーナイト・フォトアワー」というキャンペーンをやっていて、なんと、土曜日の1

溶けてしまったパリの街並み

荘厳な建築物に、光を含む白髪が素敵なマダム、 赤い花を飾った可愛らしいアパルトマン。 街中にはプラタナスの木々が石畳の歩道に 涼しげに影を落とす。 繰り返し映画で見た奇跡のような一瞬が、 当たり前よという顔で次々と流れてゆく。 そこにあるのに、 バスを降りれば触れられる距離なのに、 未だに私にとって遠くにある景色だった。 そこにあることが信じられなかった。 視界は良好。短く切った前髪のおかげ。 なのに、全てを五感に焼き付けようとすればするほどに、頭からするすると溶け出し

【ロシア留学】世界中に友達できたら世界は平和になる説

Q.海外に行って得られる1番素敵なものは?留学に行って、1番よかったと思ったことってなんだろう? と、考えることがたまにある。 よく言われるのは視野が広がるとか、 外国語が堪能になるとかだろう。 異国の地でいろんな経験を乗り越えてメンタルも強くなっているだろうし、 そんな自分に自信がついたり…! 「知り合いゼロのロシアで10ヶ月暮らせたんだから、今回のこれも絶対なんとかなるだろ!」って、何かあれば今でも必ずどこかで思ってる(笑) 自分自身が変わることができたのは間違いな

SDGs:ニジェール発アフリカの教育を根底から変える「みんなの学校」プロジェクト

「世界には学校に行きたくてもいけない子どもたちがいる」そう聞いてもなかなかピンとこない人もいると思います。私もそのうちの1人です。今回、オンライン英会話のレッスンを通して、SDGs課題の1つ「教育」について学んだことをnoteにまとめました。アフリカ諸国が抱える問題、日本の教育問題、アフリカのニジェールから始まった学校プロジェクトなどについて紹介します。 オンラインイベントに参加して特典チケットをゲット!久しぶりにQQ EnglishのSDGsコースを受講。というのもQQ

キューバ一人旅で感じた6つのこと

絶賛キューバエッセイを連載中だが、もう廃れてしまったインスタアカウントの過去に投稿した文たちが意外にもよかったので、noteにも投稿しようと思う。 キューバ一人旅で感じた6つのこと 1.コミュニケーションの基本は目とテンションにある 英語もほとんど少しだけ、スペイン語は挨拶レベルでまったくわからなかったが、そのおかげで人の目を見て、話を聞いたり、会話することが当たり前になった。 日本ではよく目をそらしたりすることがあったし、目を合わせたりするのが苦手だった。人の目を見