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センター試験「世界史B」のまとめ 第2回 前12000年〜前3500年

◆「いつ氷期が終わったのか」が聞かれる

 紀元前【セH6 B.C.とは「Before Centuryの略」ではない】12000年頃から地球は温暖化に向かい,地質学的に後氷期 (完新世) と呼ばれる時期が始まります【セH19 時期を問う】

 温暖化にともない陸地を覆っていた氷河が縮小し,大型哺乳類も減少すると,各地の人々はその営みを環境の変化に適応させていきます。

 各地で家畜や栽培植物の集中管理(農耕・牧畜【セH4時期が新石器時代か問う】)も始まり,人類は狩猟・採集による獲得経済だけではなく生産経済(食料を生産する社会)へと生存の基盤を変化させます。

なんでそんなこと聞くの?

―人類は積極的に生態系を作りかえ,食料や道具の材料となる動植物をコントロール下に置くことを可能にしていった。
 それこそが人間をほかの動物と大きく異なる存在にした要素にほかならない。

ワンポイントアドバイス
・打製石器と磨製石器の違いや、その細かい種類(礫石器握斧)について聞かれたことはない。


 この時期、中国の黄河流域ではキビ,長江流域では水稲(初めは陸稲)の灌漑農耕が始まっています。黄河【セH29 地図が問われる】流域の人々は前6000年頃にはキビ(黍)などの雑穀の栽培に成功しました。

どうしてそんなこと聞くの?

―「中国」は、ユーラシア大陸の東部で「ひとつのまとまりのある世界」をつくっていくことになるエリア。
 その原動力になったのは、豊かな土をもたらす黄河と長江の水だった。

 農業がさかんになれば,収穫物や水をいれるための容器が土からつくられるようになります。
 中国では前5000年紀には黄河(こうが,ホアンハー)中流域で彩文土器(さいもんどき,彩陶【セH24唐三彩のひっかけ】)を特徴とする仰韶(ヤンシャオ)(ぎょうしょう)文化が発展し,集落も形成されていきました。
 家畜として犬,鶏,豚【セH7ブタが新石器時代に飼われていたか問う】が飼われ,粟【セA H30稲作ではない】などの雑穀が栽培されています。

なんでそんなこと聞くの?

―人間が栽培して食用にすることができた植物の数は限られている。
 穀物というと小麦や米が有名だが、黄河流域では粟(あわ)が栽培されていた。
 米が栽培されたのは長江流域だ。
 動物の飼育の分布も、偶然によるものがほとんどだ。
 でも、その「偶然」によって、それぞれの地域の歩みには大きな違いが生まれることとなったのだ。
 
 ちなみに、現在の長江下流,黄シナ海をのぞむ寧波(ニンポー)の近くの河姆(かぼ)渡(と)遺跡(かぼといせき,1973・78年発掘)や、上流の四川盆地の三星堆遺跡(1986年発掘)では,明らかに黄河流域とは違う特徴をもつ青銅器【セH19 時期(ただし、「約9000年前」にはまだ青銅器時代ははじまっていない)】の工芸品が大量に見つかっている。

ワンポイントアドバイス
・仰韶文化と龍山文化の違いについて聞かれたことはない。
・センター試験は「土器」「陶磁器」が好き(唐三彩、白磁・青磁、染付・赤絵)

◆作物の原産地について直接聞かれた例は少ない

 インドでも,この時期に「新石器文化」(注:磨いて鋭くした石器を使う文化)が、イラン高原からインダス川流域にかけて前7000~前6000年頃に始まりました。
 前6000年頃にはサトウキビ【セH11 南北アメリカ原産か問う(原産地はニューギニア島周辺)】がオセアニア方面から伝わっています。

なんでそんなこと聞くの?

―この出題はサトウキビの原産地がわからなくても解ける問題だったけど、砂糖が人類の歴史に与えた影響には計り知れないものがある。
 影響を与えたというか、「砂糖によって翻弄(ほんろう)された」といっても過言ではない。
 これからも「」の動きには注目していこう。

ワンポイントアドバイス
・ただし、アメリカ大陸原産の農作物はよく聞かれる。


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