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イギリス旅)ブレナヴォン)ラピュタのモデルの産業革命遺産と炭鉱のカナリア

英ウェールズ南部の町、ブレナヴォンを訪れました。ラピュタのモデルとなった廃炭鉱があり、危機を察知する比喩として使われる「炭鉱のカナリア」の存在を間近に感じることができました。


産業革命遺産の町、ブレナヴォン

ブレナヴォンは、18~19世紀の産業革命を代表する史跡として、地域一帯が世界遺産として登録されている町です。かつては石炭を採掘する炭鉱と製鉄所で栄えました。

1980年の廃坑で町は活気を失いましたが、跡地には「ウェールズ国立石炭博物館」が開かれました。かつて使われた地下坑道を歩いて見学できる施設となりました。

思い出すのは福島県の「スパリゾートハワイアンズ」です。映画「フラガール」でも紹介されましたが、ここもかつての炭鉱が閉山するにあたって、街おこしとして跡地にハワイやフラダンスを体験できる施設が作られました。

炭鉱の閉山後に街おこしのために目玉を作るのは一緒。でもこのブレナヴォンはかなりガチで、炭鉱の光も闇も紹介する施設となっていました。

天空の城ラピュタのモデルに

一番上の写真は、地下炭鉱まで降りるエレベーターです。この印象的な施設は、「天空の城ラピュタ」のモデルにもなっています。(宮崎駿監督はウェールズ一帯をロケし、こうした廃炭鉱や城を作画の参考にしたといわれています)

実際にヘルメットとヘッドライトを付けて、地下約90メートルまで下りました。バッテリーをきっかけとした火災の危険を防ぐために、携帯電話は持ち込み禁止です。参加者は緊急時に備えて酸素ボンベを渡されます。ガチです。

坑道に入る前の坑夫の様子。見学でも実際にこうした酸素ボンベを腰にくくりつけました。

いざ坑道に

坑道は狭く、寒いです。体を曲げないと前に進めず、腰が痛くなります。当時は体の小さな児童や女性労働者が多く働いており、後の社会問題となりました。ただ確かにこうした狭い道では、体の小さいほうが働きやすそうだとわかり、理由を感じることができました。

ガイドはおそらくウェールズの地元の方です。結構な年配で、元炭鉱夫かもしれません。地元の雇用対策になっていることもわかります。ただウェールズなまりがきつく、なかなか聞き取ることができませんでした。

途中でヘッドライトを消すように指示がありました。途端にあたり一面が暗闇となり、心細さを感じました。

実際の鉱夫の写真

炭鉱のカナリア

地下坑道で鉱夫がつれていたのがカナリアです。金融マーケットの世界では、「炭鉱のカナリア」とは危機に敏感に反応する比喩として知られています。これは、有毒ガスが発生するといち早く鳴き声がやむ習性を生かしたものです。とても心強く感じました。

カナリアの活用を考案したのは、英国の生理学者のジョン・ホールデンです。自らの体での人体実験をいとわない「天才」でした。世界初の毒ガス兵器を使ったのは第一次世界大戦のドイツ軍です。この対策のガスマスクを開発した人物としても知られています。

博物館で飼われていたカナリア

坑道を体感し、産業革命の動力となった炭鉱の光と影を学ぶことができました。

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