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イギリス旅)バース)ジョージアン貴族が愛した蜂蜜色の街

イングランド西部の街、バースを訪れました。街自体が世界遺産なのは世界でも珍しいです。実際に訪れると、それを納得するほど素敵な「蜂蜜色」の石でできた街並みでした。かつてはローマ帝国が愛し、近代にはジョージアン時代に上流階級の別荘地として親しまれました。


街全体が世界遺産に!秘密は「バースストーン」

街にいたバースの市民から「街全体が世界遺産になっているのは、イタリアのヴェネツィアとバースぐらい」との話を聞きました。それも納得です。表題の写真は奇跡的に虹がかかった街並みです。雨上がりに差し込んだ光が照らして、金色に建物が輝くさまが神々しかったです。

バースストーンでできた教会

街並みが綺麗な秘密は、近くでとれる「バースストーン」の存在です。古くはジュラ紀には浅い海の下だったことで石灰岩が堆積して造られました。白くて見た目に美しいうえ、四角や長方形に切り出して加工しやすいという特徴があります。レンガ造りの建物が多いロンドンとは異なる独特の雰囲気があります。

ロンドンでは見慣れた一般的なスーパーの「ウェイトローズ」も「マークス&スペンサー」も、バースストーンの建物ではなんだか荘厳に美しく見えてしまうから不思議です。

バースのウェイトローズ
バースのマークス&スペンサー

ジョージアン時代の貴族の別荘に

バースの名前の由来は「bath(お風呂)」。お風呂好きで知られるローマ帝国のもとで2世紀ごろに発展しました。イギリス唯一の温泉です。

ローマ撤退後は一時歴史の影に隠れましたが、エリザベス1世の時代に再び日の目をみるようになりました。産業革命が始まったジョージアン時代(1714~1837年)に貴族など上流階級の保養地として発展しました。

ギリシア・ローマ復興の「新古典主義」建築

そのひとつが「ロイヤル・クレセント」です。三日月形の集合住宅で、約30軒の別荘が並びます。

18世紀半ばにはイタリア・ナポリ近くのポンペイで、火山灰に覆われた遺跡が再発見され、ギリシア・ローマの復興ブームが起こりました。これが建築では「新古典主義」となり、当時の建築を再現する流れが作られます。

ロイヤル・クレセントはその影響をうけ、古代ギリシアのイオニア式の円柱が並びます。こうした古典の影響を受けた建築はイギリスでは特に「パラディオ様式」といわれます。

ロイヤル・クレセント

もうひとつが「サークル」です。円形の広場の周りに、同様に貴族の集合住宅が並びます。ロイヤル・クレセントを設計した建築家とは親子の関係だそうです。

サークル

イギリス貴族の戦没者

ロイヤル・クレセントの出入り口に、気になる記念碑を見つけました。同地に住んでいた方で第二次世界大戦に従軍して戦没した方の慰霊碑です。イギリス貴族は「ノブレス・オブリージュ」の考え方が強く、特に第一次世界大戦では国を守るために率先して戦地に向かい、死亡率は高かったとされています。貴族の別荘だからこそ、こうした祈りをささげるモニュメントが目立つところにあるのかもしれません。

戦没者慰霊碑


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