見出し画像

ヨークミンスター

ガムランのことはろくにわかってもいないのに、気がつくとヨークミンスターでのコンサートに参加する運びになっていた。

ヨークミンスターはヨークの街にある一番大きな教会。ほんとうに大きくて、中にはいっては、教会のオルガンや合唱を聴きながら、ぼんやりしに行ってた場所だ。とにかく大きい。9月に留学をはじめたので、その頃はもう冬になりかけていて、とても暗くて寒かったのを覚えている。12月にはイギリスは朝9時に日が出て、昼の3時には日が沈む。
ヨークミンスターはキリスト教の場所。そこにガムランというある種宗教的な匂いのするもののコンサートを実現させるのに、先生であるニール・ソレルがずいぶんいろいろ頑張ったという話を最近になって聞いた。おそらくその当時聞いたのだろうけれど、その当時のわたしの英語力では理解できていなかった。

ガムランの音は高い高い天井のかなたに吸い込まれて、しばらくして余韻と共に降ってくる。菅曲として聴くには最高なのだが、隣にいる人の音がほとんど聞こえない。演奏する方にはとても辛い環境だった。ガムランは指揮者を持たず、太鼓や弦楽器の微妙な変化で音楽が展開していく。目で確認できないので、耳で変化を感じ取る。慣れていればなんてことはないのだけれど、当時ガムラン歴数週間のわたしにはとてもむずかしかった。

これがわたしのガムランデビュー戦だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?