九州地方の石造物③:最教寺墓地五輪塔(大渡長者の墓)

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名称:最教寺墓地五輪塔

伝承など:大渡長者の墓

所在地:長崎県平戸市 最教院墓地


松浦家の城下町で南蛮貿易ゆかりの史跡も多く残る平戸市にある最教寺は、松浦氏によって江戸初期に建立された比較的新しい寺院であるが、松浦氏の建立以前には勝音院と言う寺院があり、その区域には中世の石造物も残されている。

境内の外、奥の院の裏手にある墓地には、最教寺建立以前から伝わっていたと思われる二基の五輪塔があり、地元では大渡長者夫妻の墓と伝承されている。

大渡長者は650年ほど前に北九州や壱岐・対馬を股にかけて活動した豪商であるとされるが、五輪塔は鎌倉時代末期の造立と考えられ、伝承の真偽はさておき概ね大渡長者の時期と合致する。

この五輪塔は九州の地方色はまったくなく、京都や奈良にあっても違和感のないくらいの中央の作風であり、おそらく畿内からもたらされたものであろう。

長崎県内には、平戸以外の地域にも海路を使って中央からもたらされたと考えられる端正な石塔が多く残るが、その中でもこの最教寺の五輪塔は完形と言うこともあり代表的な事例と言える。


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