中部地方の石造物⑧:富士山五輪塔(巴・山吹の墓)

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名称:富士山五輪塔

伝承など:巴・山吹の墓

所在地:長野県上田市富士山


上田市の塩田平は、長野県内でも一際中世石造物の多い場所であるが、その塩田平にある富士山と言う字の共同墓地の中に、一見して中世の石塔とわかる五輪塔が二基存在する。

地元では木曽義仲の側室であった巴と山吹の墓であると言われているが、もとより伝承の域を出ず、この地が木曽義仲の勢力下であったこと(同じ上田市内の手塚は、木曽義仲四天王の一人に数えられる手塚太郎光守の所領であったと言い、同地には手塚光守の墓と伝承される中世の五輪塔がある)と、同じ法量の五輪塔が二期並んでいることからそうした伝承が生じたのであろう。

長野県では珍しい北陸形式の五輪塔で、火輪の丈が長いことが特徴である。

地方色が強く出ている石塔であるため年代比定が難しいが、おそらく鎌倉時代が末期の造立と考えられる。

なお、二基のうちの左塔は完形であるが、右塔は空風輪が後補である。


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