夏の話を君はしないで

ことばなのか、心なのか。

心は目に見えないのに、
言葉がなくてもつながっている感じがする。

そんな瞬間を奇跡とか歓びとか呼んだりするのだろうか、
この世界では。



さっきまであんなに話していたのに
いつのまにか塞がれている。

なにも話さなくても、次の瞬間
なにが起こるのか
解るようになってしまう。


そんな錯覚には
きっとそれ以上の名前はない。


ひみつがあるのはいちばん素直で自由


話さない愛おしさがいくつかあっても

もっと輪郭をはっきりさせても?


そんなことは唇のかたちや
回した腕でわかってしまうものだから
なにも言わずにいよう


「いちばん心でつながっている感じがするから」


言葉と引きかえに
手に入れた素直


鏡の裏から
盗んだ横顔をなぞる


どちらがほんとうの私たちなのか


スーツケースが走る音、
おかしなイラストのTシャツ、
片方だけのイヤリング、
鮮やかな夏の終わり、

何度目かの花が咲いたら
残り一滴の水を分け合って飲もう


満たされたのは
忘れた傘の向こう


いつも正しい
時計の針の音色

たまには壊れないのかな


まだもう少し、の風船は
8月のグレーな空へ飛んで行った


忙しさから自由になってね
きっともっと
頭のなかではいろんな音が鳴っているから


さいごに触れたい1ミリは
忘れたふりをするからさ


なにもかも隠れる夜が
一瞬で明けるまでは、まだそこにいて


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