野蛮な一冊

日射しがいちばんあたたかな昼過ぎ、湖のほとりは散歩の折り返し地点。
泡立つ炭酸水と新書を包んだスカーフを広げ道草読書タイム。

新涼の一冊野蛮な読書


ああ、これはまたなんとエレガントかつ野蛮なエッセイ。

言葉による手引きに読み込むほどに誘発されてページをめくる手を止められない。止まらない。

読む事に真剣、なのではない。この著者の冷静さと野蛮さを交ぜあわせた良質な言葉の緩急が生む歪み、ワタシはそれにすっかりハマってしまったのだ。それも第一章の数ページで。

しばらくして、芝生に敷いていた人一人分のスペースしかないスカーフは、気づけば海に漂流するイカダと化し、太陽に焼かれるうなじに時折り思考を戻されながらも、ヒリヒリとする言葉の緊張感と和むエピソードが生む巧みな温度差が私を余所見させることなく少しずつ確実に愉悦へと浸らせていくのだった。

一ページごとにイカダは流れ流され漂い遠くまで。
少しずつ物語との距離が近づいたかと思えば、さらりと離されてワタシはまた漂流するのであった。

時に
読書する体位は私、極力チカラを抜きます。ゆえに、力を抜きつつも美しい姿勢が保てないものか…今後の課題。

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