Week 4:日本に感じる可能性…は、漫画かなぁ(すずき)

こんにちは。シンガポール在住の編集者すずきです。

せきこから、前回こんな質問をもらいました。記事はこちら

最近SNSで、外国(というとても大きな対象)に比べて日本はあれもダメ、これが手に入らない、これももうアウト。お先真っ暗や!みたいな投稿を見ることが多くて。
たしかに事実も多いと思うんだけれど、暗い気分になったり、将来が不安になることもあって、しゅーんとなっちゃう。
シンガポールで編集者をしているすずきから見て、そんな日本にワクワクすることや可能性を感じることってある?って聞いてみたいです。


おーう。私もそういう発言をしている1人だと思うので、悲しい気持ちにさせてるね。すまん。

確かに、日本と海外を比べて「あれもだめ」「これもだめ」な批判をよく見掛けます。そして、その多くが至極まっとうな批判だったりするよね。

たしか、私たちが一番最初にそういう話題でやりとりしたのは、この記事がバズってたときですね。

欧州からは「日本だけが勝手にどんどん貧しくなっている」ように見えている

▽一部引用するとこういうことが書いてある

1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本の経済は衰えるばかりなわけですが、これって海外から見ると「相対的に日本だけがどんどん貧しくなっていっている」ように映っているんですよ。

なんというか、否定のしようがない事実。昨今話題の「裁量労働制」導入も、「外国人実習生」も、現代の奴隷制度かな??というくらいツッコミどころだらけだし。

ジェンダーの平等も全然だし・・・とか言ってると、また「お先真っ暗」発言ばかりしちゃうので、質問に答えていきます!


日本の漫画コンテンツの裾野の広さに可能性を感じるよ

私は今、シンガポールに住んでもうすぐ2年になります。実はこの国「芸術」「アート」にすごく遅れていると言われているのね。先進国にしては。

もともと大昔にイギリスが、ここを「自由な国際貿易港にしまっせ~」ってところに集まってきた労働者や連れてこられた人たちが起源の国なので、日本や中国に比べて文化的な「蓄積」があまりないなぁと感じる土地です。

そういう意味で、こちらに住み始めてから改めて、日本は「創造物の蓄積が多いな」と感じています。

そして、今回はその中でも漫画に絞ってみようかなと思います。

てことで、じゃあなんで私が日本の「漫画コンテンツ」に可能性を感じているのかという話していきます。以下の3点が、そう考えている理由です。

①読んでいる人口の多さ
②作り手の多さ
③題材の豊富さ・裾野の広さ


①読んでいる人口の多さ

日本における、漫画の読者人口について調べてみたんだけど、あまりそれらしい統計はなかった。。。。ので、私の感覚ベースで話していきます。(格好がつかなくてごめんw)

せきさんの身の回りに、「漫画を読んだことがない人」っている?

日本のすごいところの一つって、かなり多くの人が「漫画」というプラットフォームに接したことがあることだと思う。

たとえば、義務教育で通う小学校の図書館には歴史学習まんがが置いてある。コンビニで漫画雑誌が売られている。書店のフロアの3分の1くらいをコミックコーナーが占める。新聞や雑誌にも漫画という形式で書かれたエッセイやコラムがある。最近で言えば、スマホだよね。違法サイトや違法アップロードされているものも含め漫画を読むことができるプラットフォーム(Kindle、レンタ、なんかその他よくウェブ広告で表示されるサイト)の多さは、漫画人口の多さを物語っている。

Kindleについては、日本市場向けに漫画を読むのに適した端末も発売されてるのね。「Kindle Paperwhite マンガモデル」とかそのあたり。売れるからこういう商品があるはずだよね。

とにかく、連続するイラストと言葉の組み合わせを、ここまで目にする国は本当に珍しい。

もちろん読書量に差はあるんだけど、これだけ読んでいる人口が多いということは、漫画という「コンテンツのプラットフォーム」が情報を拡散する媒体として、とても大きな潜在的な力を持っていると言える。


②作り手の多さ

ところで、私もせきさんもtwitterのヘビーユーザーよね。笑

twitterを始めた09年頃はあまり何も感じなかったんだけど、ここ数年はタイムライン上で1日1回以上は漫画を目にしてると思わない??

まぁ何が言いたいかというと、「漫画の『描き手』がめっちゃ多い」

オリンピックのスポーツでも、クラシック音楽とか芸術分野でも、それに取り組んでいる人の母数が多ければ多いほど、その文化や技術の全体のレベルは劇的に向上する。

そういう意味で、日本の漫画文化は当たり前かもしれないけど世界のトップを独走している。

最近ではフランスとか、中国とか、欧州でもアジアでも米国でも、果てはアフリカでも漫画を知っていたり描いていたりする人は登場している。でも、母集団の大きさで言えば日本が圧倒的に巨大。中国がかなりのレベルで迫ってきていそうだけど、国民の人口あたりの漫画の描き手の割合でいえば、断然日本が大きいんじゃないかな。

ちなみにここで言っている「描き手」というのは、プロの漫画家から日々のちょっとしたことをイラスト&コメントにまとめているようなせきさん、あなたのような人まで、ぜーんぶ含めて指してます。

twitterでもPixivでもいろんな人が日々のちょっとしたことからものすごく難しいこととか学術的なことまで、さらっと漫画にしてしまっている。しかも、本業は別にある人の多いこと。「音楽奏者で、ときどき漫画描く」「普段はOLで、趣味として同人誌作る」みたいに、「本業は●●だけど、漫画も描けます」という人たちの持つ力って、計り知れない。

よく転職市場とかでは、専門技術×英語みたいに2つ以上武器があるとよい。と言われるけど、漫画が描けるというスキルもこのかけ算できる武器の一つだと思います。

日本のこの「描き手」、つまりクリエイターの多さは誇るべきことだし、育てて行かなきゃいけないところじゃないでしょうか。


③題材の豊富さ・裾野の広さ

①と②があってこそだと思うんだけど、③の「題材の豊富さ・裾野の広さ」が、私が1番可能性を感じている点です。

例えば私が定期的に読み返してる漫画の一つに「闇金ウシジマくん」があります。笑 だいたい読んだあとに鬱々とした気分になるんだけど、定期的にお金の大切さとか世の中の理不尽さとか、なんか悲惨な現実がわりと身近に転がっているということを自分自身にリマインドするにはすごく役立ってるなーと思うコンテンツなんだよね。

たぶんだけど「闇金」(英語だったらloan shark)を題材にしたコンテンツってそんなにない。そして、それが漫画からドラマや映画になって、こんなにメジャーに知られているって非常に珍しい事例だと思います。

他にも、ローマ時代のお風呂をテーマにした「テルマエロマエ」とかも、めちゃめちゃニッチなところを題材にしたよね!?という作品。

日本の漫画コンテンツで「題材にされていないものってある??」と思うくらい、世界中のいろんな国や時代の話が、すべからく漫画になっているって純粋にすごいことだと思います。

恋愛、バトル、スポーツ、異世界、犯罪、社会問題、歴史、ジェンダー、文化、料理、園芸、とかとか。。ありとあらゆる話題がそろっていると思うのよね。

その分、しょーもないエロ漫画とか、あまりにも中身がなくてがっくりきちゃうような作品もあるけど、でもそれらを含めた母数の分厚さが、日本の漫画コンテンツを下から支えてるんだと思うよ。


でもじゃあ、その可能性をどう生かす…?

ただ、じゃあ可能性があるから放置しておけばいいかという話ではないよね当然。。

どうしたらその可能性を生かせるのか、は、考えなきゃいけないところだ。

日本の経済状況を見ている限り、日本国内で閉じていられる期間には終わりが来る。というかもう本当は終わり始めているという点を考えると、やはり外にも内にも両方に向けて発信していく必要はあるんじゃないかなと思います。

少なくとも、英語、中国語、スペイン語には当たり前に全コンテンツが翻訳されるくらいになっていっていいと思う。というか絶対に必要だと思う。

そして最初から中国語版とか英語版とかで作っちゃうとかね。なんかありきたりな結論で申し訳ないんだけどね。。。

小学館はシンガポールで、シンガポールのオリジナル漫画コンテンツをすでに4作品くらい出版しているよ。建国の父「リー・クアンユー初代首相」の歴史学習漫画を、最初から英語で出版してた。試行錯誤の段階だけど、そうやって海外に切り込んでいる出版社もいるし、まだまだ日本の漫画コンテンツ捨てたもんじゃないんじゃないでしょうか。


あとはプラットフォームの改善かなぁ。。。

スマホタブレットで読むこと前提のレイアウトにどんどん変化していく必要はあるかもね。横書きが主流になっていったりするかなぁという気もしなくもない。


とりあえず、なんか自分でもよく分からなくなってきたので、いったんこの辺で終わらせてもらう。。笑

あと!補足しとくと、別に漫画だけじゃないです。可能性を感じるものは!ただ、あんまりまとまりなくなってもだし、今回は漫画の話だけね~。

以上、すずきでした。

次回、せきさんに質問は、これです!

◇フリーランスになってそろそろ2年…?ぶっちゃけどうですか?

せきさんの営業兼マネージャーになりたいと思いつつ私も2年が過ぎてしまったわけですけど、フリーランスになって感じる雇用者でいるときとの心境の違いとか、不安とか、逆にここやっぱ良いわみたいな部分とか、いい点も悪い点もいろいろ聞きたいです♪

確定申告がどう大変かとか、オンオフの切り替えが難しいとかでも

あ、あと、自分で自分の営業をする大変さ/楽しさとかは聞きたい。フリーランスの営業を担当するフリーランスになりたいすずきより。

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せきことすずきの交換日記

中学からの幼なじみの「せきこ」と「すずき」。もうすぐアラサーに差し掛かり、15年ぶりに交換日記をはじめます。 かたや海が綺麗な離島に住むグラフィッカ-。かたや摩天楼が立ち並ぶシンガポールに住む編集者。わりと違って、わりと似ているせきことすずきの週に一回のゆるーい交換日記を公開中。
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