TEPPEI RECOMMEND 2024 4/28 ~5/4

いまオススメのロックをテキストと共にお届けするTEPPEI RECOMMEND。今週は2曲も紹介します。先週の2曲に続いて少ない。Lemon TwigsとかDua Lipaのニューアルバムがリリースされているのだけど、Lemon Twigsはちょっと地味でシングルが目立つ出来だったという理由で、Dua Lipaはこれまで通りでいいのだけど(ジャンルとして)ポップだからという理由で(このレコメンドは基本ロックなので)見送り。まあこんな週もある(と先週もいったけど)。とにもかくにもまいりましょう。

1曲目はHome Counties(ホーム・カウンティ)の『Funk U Up』。『TEPPEI RECOMMEND 2024 4/14 ~4/20』でも紹介したように、ホーム・カウンティはイギリス、ブリストルの6人組ロックバンド。前に紹介したときに「ブラーの『Girls And Boys』が好きな人は間違いなく好きなダンスミュージック。こんな曲ばっかり詰まってると思うとアルバムが楽しみだ。」と書いたのだけど、昨日リリースされたアルバム『Exactly As It Seems』はその希望通りのダンスロックアルバムになった。『Funk U Up』はアルバムの3曲目をかざるミドルテンポ(BPM120くらい)のファンキーチューン。最初聴いたときにはYard Act(ヤード・アクト)の『We Make Hits』を速くした感じだなと思った。あれは80年代のディスコを意識した曲で、MVも思い切りそちらに寄せていたけれど、『Funk U Up』からも80年代を感じる。ホーム・カウンティとヤード・アクト、方向性が全く異なるように思える2バンド(ホーム・カウンティはポップでキャッチーでメロディアスでかなり(ジャンルとして)ポップ寄りなのに対して、ヤード・アクトはヒップホップからの影響をベースにしているしキャッチーさはあるのだけどあくまでロック)なのに繋がりが見いだせるというのは面白いなと思う。しかし振り返ってみれば2022年まではホーム・カウンティだってロック然とした曲を出していて、去年9月のシングル『Bethnal Green』から一気にポップ化したのだから、今後なにが起こるか(ヤード・アクトがポップな曲やったり、ホーム・カウンティがラップし始めたり)わからない。目が離せない2組ですね。

2曲目はSharp Class(シャープクラス)の『Catch My Breath』。シャープクラスは2020年デヴューの3人組ロックバンド。ライブ動画(『Catch My Breath』)を観てもらえばわかるようにフロントマンのオリバー・オートンがリッケンバッカーを掻き鳴らし叫ぶ姿は在りし日のポール・ウェラー。音楽もパワーポップでパンクで、ところどころのフレーズがジャムっぽい。2022年にリリースされたデヴューアルバム『Tales Of A Teenage Mind』はヨーロッパで人気を博し、タイトル曲の『Tales Of A Teenage Mind』がグリーン・デイのビリーの目に留まってグリーン・デイの前座を務めてもいるシャープクラス、まだ若い(年齢は知らないけど、若いよねきっと)三人がどこまで、またどういう方向に伸びていくのか楽しみ。来日してくれ!

ということで今週の紹介も終わり、最後に雑感を。

【今週の雑感】
今週の木曜日からBURN OUTでお世話になっている頭バーで15周年パーティーが始まっています。僕らBURN OUTも3人各々が30分ずつもらって昨日金曜日DJしました。自分の出番は23時からだったのだけど、前と後ろはロックじゃないDJパーティーの人で、これは戦略を考えていかなきゃ絶対に負ける(何に?)と思ったから、自分の前の人がやってるパーティーの感じからながしそうな曲調、BPMを予想し、そこから繋がる感じで5つとか6つとか30分のプレイリストを作っておいたのだけど、ふたを開けてみれば想定がすべて外れていた。焦ったね。怒りも湧いた。なんだよ、俺の研究と違うじゃないかって(そんなのあんたが勝手に思い込んだだけだろと言われれば、返す言葉もございません)。ダンスミュージックから自然とロックにいくことを考えていたのだけど、どうしようもなくて非常手段に出た。アタック感が強いイントロをぶちこんで無理やり流れを変える方法。それがRa Ra Riotの『Dying is Fine』。これが一曲目で、そっから流した曲を下にあげる。

1. Ra Ra Riot / Dying is Fine
2. The Pains OF Being Pure At Heart / Heart In Your Heartbreak
3. The Cure / Boys Don't Cry
4. Friko / Chemical
5. ゆらゆら帝国 / 発光体
6. Thee Michelle Gun Elephant / スモーキン・ビリー
7. betcover!! / バーチャルセックス
8. Fontaines D.C. / Big
9. Butthole Surfers / Who Was In My Room Last Night?
10. M.I.A. / Born Free
11. Death From Above 1979 / Totally Wiped Out

いちいち説明はしないけれど、3曲目、5曲目6曲目あたりは明らかに盛り上がった。手ごたえをびしばし感じた。6曲目のイントロではマイクを使ってBURN OUTの告知(来週土曜日5月11日23時からオールナイトでありますんでチェックよろしく的な)もできたし、1曲目でくずれた態勢から始まったDJだけど、なんとかなったなと思ったわけ。けどその次が迷った。続けてブランキー・ジェット・シティーの『3104丁目のDANCE HOLEに足を向けろ』とかながしたら盛り上がりが持続するような気もするけど、5曲目6曲目も90年代の曲をながしたところにさらに古いロックを重ねるのかって。それで『バーチャルセックス』にいったんだけど、これが盛り上がらなかった。そこから8曲目9曲目10曲目は十年以上前に村圭史さんというDJが新宿ローリングストーンという自分がよく遊びに行っていた箱の、いつかの年末パーティー(『Born Free』が2010年リリースだから多分2010年の年末パーティー)でやったDJの真似。そのときはFontaines D.C.の『Big』の代わりにThe Horrorsの『Sheena Is A Parasite』をながして、そっからButthole Surfersの『Who Was In My Room Last Night?』、M.I.A.の『Born Free』と畳みかけていた(と思う)。すごい衝撃だった。その場にいたDJはみんな刺された感じと言っていた。そのときのDJの流れを拝借したのだけど、まあ刺さらなかったな。自分の持っていき方がまずかったとは思う(盛り上がったまま流れに突入すべきだった)のだけど、M.I.A.の『Born Free』は2010年の曲で、あれほど攻撃的なアンセムがいま2024年にないななんてこともある(つまりいまの流れではない)。最後11曲目は苦し紛れで『Born Free』と単に繋がる曲を選んだだけ。
昨日DJしてみてつくつぐ今のロックの力が弱いことを認識させられた。上のプレイリストをみても新曲といえるのは4曲目Frikoの『Chmical』と7曲目betcover!!の『バーチャルセックス』の2曲くらいのものだし。いい曲はたくさんある。betcover!!の『バーチャルセックス』なんてすんごい曲、アンセムだと思うんだけど、それで盛り上がらないというのは曲に名前がついていないからだと自分は思う。曲に名前がつくとはどういうことか? 自分が20代の頃はその曲がどういう曲か、雑誌やネットで知識を得まくってた。情報に飢えていた。そうやって知った曲を何度も聞くことで曲との距離を縮めていた。それはいまでもできる。Spotifyで何度も聴くということは。ただそもそも曲にアプローチしようという動機がいまは希薄。ロックが流行ってないから。その結果ダンスフロアで新曲を聴くということになって盛り上がらない。曲に名前がついていれば盛り上がっていたかもしれないのに。もちろんフロアで初めて耳にして、なんだこの曲は驚くということはあると思うし、それで最高の曲だ、踊ろうとなってくれれば最高なのだけど、昨日の反応を見てると事前に知ってる知らないというのはやっぱりとても大きな要素という気がする。20年前と比べるといまは音楽雑誌もその影響力はたぶん十分の一以下だし、だから各々が好きな音楽に向き合える(それは素晴らしい)というのは確かなんだけど、ダンスフロアで一つの曲で一緒に盛り上がる、喜びを共有するというのはとてもとても貴重なことだと自分は思っていて、だから曲に名前を付けるために自分はこうやって『TEPPEI RECOMMEND』をやってるわけ(とても微力ではありますが)。ツイッターやインスタで発信をしているのも同じ気持ち。他のDJの人が発信しているのもきっと同じような意図なんだと思ってる(そこらへん、情報発信しているロックDJには勝手に同志感をもっている)。なんかまとまりがない文章になったけどLong live rock!ってことで。

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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