いつだってあなたの隣には私がいるし、私の隣にはあなたがいる

 青春という言葉は青春真っ只中の年齢でも自分のように青春からは程遠い中年になった今でもとても気恥ずかくなる。
夏の青空を「イヤな天気」と呟くように青春の「青」は視界のハッキリしない、それこそ苔だらけの金魚鉢のような青で自分が自分であることがどこかでさ迷ってるかのように水槽の中を踠いているのだ。
金魚も死んで初めて「可哀想」と泣かれるように死なないと優しくすらしてくれない(と悟ってしまった)アンはまるで水槽の金魚のように口をパクパクさせて言葉を発する事ができない。まるで『銀河鉄道の夜』のジョバンニのように自分の気持ちをうまく言葉にできずに顔を真っ赤にして笑い者にされてしまうかのように。
そんな彼女が「キラキラくるくる」と唱える万華鏡の世界はさしずめ「銀河ステイション」であり、そのキラキラくるくるの世界を通して出逢うアイナはカムパネルラなのだろうか。
アンとアイナ二人だけしか見えないキラキラくるくるとした世界。多感な少女の夏休み。「永遠」なんて絶対にないけど「永遠」がアンとアイナには続いているようなそんな不思議な感覚がどこにも居場所のない、あなたの、そして私のアンとアイナの心の穴に寄り添って抱きしめてくれることだろう。
みんなになんかじゃなくていい、君だけが僕を私をあなたを分かっていてくれたら、その固い抱擁は2人を離れ離れになんかさせずにいつの日かその狭い金魚鉢の青さを笑える時がくるだろう。




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