近藤 誠司

運用設計エンジニア、運用コンサルティングなどをやっています。趣味は小説書き。第47回埼…

近藤 誠司

運用設計エンジニア、運用コンサルティングなどをやっています。趣味は小説書き。第47回埼玉文学賞正賞受賞。

マガジン

  • メンタルを考える

    エンジニアのメンタルを保つ考えをまとめてみます。

  • ITILプロセスを考える

    ITILプロセスを実際に検討する場合の考え方をまとめていきます。

  • セキュリティ運用設計

    セキュリティ体制、SOC、CSRITについて考えたことや思ったことをまとめています。

  • 「運用改善の教科書」未収録コラム集

  • いまこそ、運用チームを見直そう!

最近の記事

知的好奇心の持ち方と行動特性

研修やワークショップをやるうえで、参加して頂いている方のスキルなどを意識します。 何度も実施するうちに、スキルと呼ぶかは微妙ですが、その人がどんなタイプかを図る尺度として知的好奇心の持ち方というのがあるな、と感じるようになりました。 今回は「知的好奇心尺度の作成」という論文を読んで考えたことをまとめていきたいと思います。 まず、「好奇心」は学業達成に対して、「知能」「勤勉さ」に続く3番目の影響力と言われています。 それは、仕事における「業務遂行」でも同じと解釈できます。

    • 運用項目の起源

      運用項目(運用中に実施する作業)が洗い出されるパターンはいくつかありますが、代表的なものは以下の3つがあります。 ① 運用要件に対応する まずは、企業の要望、事前にまとめた非機能要求、遵守する法令・規約などによって、運用項目が決まるというパターンです。 システムに対するレポートを毎週提出してほしいといわれれば、レポート提出が週次になります。 非機能要件として、リソース不足時の「サーバ処理能力増強」方針が「スケールアップ」で、その作業を運用でやる場合は「サーバのスケールアッ

      • 「豊かさ」ドリブン

        皆さんのお陰もあり、株式会社K-modelも第一期が無事に終わりました。 はじめての経営に四苦八苦しながらも、昨年はK-model の法人としての人格を言語化する年でもありました。 いま流行りのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)みたいなことはホームページに書いてありますが、それよりももうちょっと抽象的に大切にするべき会社の意義とは何なのかを考えていました。 せっかく会社の代表をしているのだから、出来るだけ自分が納得できる形で仕事をしていきたい。 そんなことを考えながら

        • 2023年を振り返る

          「今年も一年、早かったですねぇ」と、年末はなんとなくみんなに合わせて言っていましたが、いざ振り返ってみたらめちゃくちゃ長かったと感じました。(嘘ついてすみませんでした!) 法人設立一年目ということもあって、もう、怒涛のような毎日でした。 記録の意味も含めて、忘れないように振り返っておきたいと思います。 2023年1月 2023年1月23日に「株式会社K-model」を設立しました。 4月に契約を切り替えるので、この時はまだ作っただけで寝かせている状態です。 あとで政策金融

        知的好奇心の持ち方と行動特性

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          3本
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          4本
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          5本
        • いまこそ、運用チームを見直そう!
          6本
        • DXレポートを運用目線で読み解く
          5本

        記事

          SaaS運用を考えるの巻

          SaaSを利用すると、基本的には基盤運用の項目が激減します。 パッチ適用も減るし、監視も減るし、システムバックアップもなくなるし、といった感じです。 ただ、SaaSは独自の運用観点もありますので、今日はそのあたりをまとめてみたいと思います。 SaaS選定 そもそも、まずは安全なSaaSを選定する必要があります。 使ってみたら思ったより止まりました。あと、情報流出してました。てへ。 ではすまされません。 そのあたりは経済産業省の「SaaS向けSLA ガイドライン」に詳しくあ

          SaaS運用を考えるの巻

          他人は変えられるのか?

          メンタルシリーズ第3弾です。 過去のブログはこちら。 他人と過去は変えられないのか? 精神科医 エリック・バーンや心理学者のアルフレッド・アドラーの名言として「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」というのがありますが、これについては総論合意・各論反対という立場です。 他人のすべてを変えられないとしてしまうと、最終的には教育の是非を問われることになります。 教育に意義があるという前提に立つと、他人の何かは変えられるはずです。 過去については、あんまり信用

          他人は変えられるのか?

          運用設計のケンミンSHOW 極

          自粛期間に社会がリモート対応を加速させたおかげで、私の運用設計生活にも変化がありました。 これまでは関東を中心に仕事をしていたのですが、関東以外の企業で運用設計/運用改善を対応することが増えました。 書籍に書くほどではないTIPSなので、ここにまとめておこうと思います。 ちなみに、完全に主観なので異論・反論はご容赦ください。 ① 関東(主に東京) 関東、特に東京という街は多くの大企業の本社があります。 それらの大企業ビルヂングの明かりに引き寄せられるように、地方から人々が

          運用設計のケンミンSHOW 極

          【改訂新版】運用設計の教科書 オンライン立ち読み

          X(旧Twitter)に投稿した運用設計の読みどころをまとめておきたいと思います。 書店が近くになくて、内容を確認して買いたいけど立ち読みもできないというあなたに向けてお送りします。 運用設計の教科書はサービス導入までに決めることを書いています。 サービス導入後については「運用改善の教科書」を参照ください。 運用を業務運用、基盤運用、運用管理の3つに分類しています。 理由としては、それぞれで設計の型が違うからです。 分けて考えた方が整理しやすくなります。 ウォーターフォ

          【改訂新版】運用設計の教科書 オンライン立ち読み

          仕事と居場所について

          前回の続きです。 メンタルの話を聞くとき、その人の居場所について考えることがあります。 人間は社会的な生き物なので、どうしても居場所が必要です。 アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグさんが、著書『ザ・グレート・グッド・プレイス』(The Great Good Place)で「サード・プレイス」というものを提示しています。(原文は英語なので読んでないです、申し訳ない) 「ファースト・プレイス」は、自宅などのその人が生活を営む場所。 「セカンド・プレイス」は職場で、おそら

          仕事と居場所について

          メンタルを保つということ

          定期的にメンタルの相談を受けることがあります。 なかには希死念慮に苛まれている人もいて、けっこう真剣に取り組まないといけないことも少なくありません。 いくつかのサイトで調べると、システムエンジニアがうつ病になる理由として、 納期などでオーバーワークになりがち 日光を浴びることが少ない 人とのコミュニケーションが少ない キャリアが不安定で学ぶことが多い などと書いてありますが、「さすがにそりゃ表層的すぎるだろ」と思いました。 細かい原因追及はキリがないので止めます

          メンタルを保つということ

          出版記念キャンペーンについて

          保育園からの友人に「運用設計の教科書」の改訂新版を出版することを知らせたら、「キャンペーン打たないの?」と言われました。 きゃ、キャンペーン? 発売してX(旧:Twitter)とかでお知らせするぐらいは考えていましたが、大々的なキャンペーンをやるとかは考えてもいませんでした。 友人は出版、映画、芸能畑の人なので、せっかく出版するのにキャンペーンを打たないことの方が違和感があるようでした。 ところ変われば、常識も変わるという感じですね。 「ちょっと、キャンペーン企画をい

          出版記念キャンペーンについて

          ここが変わったよ! 運用設計の教科書

          運用設計の教科書の改訂新版が出版されるので、どこがどう変わったのかをお伝えしようと思います。 ちなみにですが、初版は初版の良さはあるので、初版を持っていて購入を迷っている方は、この記事を見てから決めて頂ければと思います。 初版と改訂新版の変更概要と変更率は以下になります。 それぞれを少し詳しく解説していきます。 1 章 運用設計の範囲 今回の改定では、消費者が利用者となる「社外向けシステム」と社員が利用者となる「社内向けシステム」を分けて考えるように全体を構成しました

          ここが変わったよ! 運用設計の教科書

          ハイブリッド/マルチクラウド環境における運用

          歴史の長い会社だと、システムの環境としてオンプレミスを使い続けている企業も多いと思います。 そこにクラウドも入ってくると、色々なツールを使う必要が出てきて運用が複雑になります。 システム運用においてどんなツールを使うかは、どんな手順になるのかに直結するのでかなり重要なことです。 逆にいうと、システム基盤が違っても運用ツールを合わせることで、運用手順やフローやルールを合わせることができます。 イメージとしては以下のような感じです。 オンプレミス、AWS、Azureの3つの

          ハイブリッド/マルチクラウド環境における運用

          コンセプチュアル・スキルの育成

          スキルのことを調べようとすると、必ず出てくる「カッツ理論」というのがあります。 ロバート・L・カッツさんが、1955年(昭和30年!)のハーバード・ビジネス・レビューに論稿したものですが、それが2023年(令和5年!)でもまだ生き続けているというのは驚きです。 運用改善の教科書を書いた時に、20年後の1974年に回顧録付きの再録版をリプリントして取り寄せました。 カッツ理論に関する記事は多いですが、原本にあたって書いていると思われる記事は少ないので、特に興味深かった箇所を引

          コンセプチュアル・スキルの育成

          レビューにおける直観を考える。

          システム運用を含め、ITの仕事をしているとレビューはつきまといます。 アイデアを確認してもらいたくてレビューに出したのに、誤字脱字の指摘しかなかった時の違うそれじゃない感。 最終提出前にフォーマットや誤字脱字チェックのレビューを依頼したのに、「そもそも、これって考え方が違うんじゃない?」というちゃぶ台返しが来た時の今じゃないだろ感。 などなど、レビューについては色々なあるあるがあると思います。 そもそもレビューで定型的なチェックしかしていないなら、そんなレビューは自動化す

          レビューにおける直観を考える。

          ファシリテーションを考える

          立場上、会議やディスカッションをファシリテーションすることが多いのですが、実践しているコツみたいなものを洗い出してみようと思います。 議題を理解する。 会議では、なにか議題があるはずです。 ディスカッションが必要な議題には、必ず何かしらの衝突が伴います。 参加者の認識が違う。 参加者の考え方が違う。 参加者の役務が違う。 こういった様々な衝突が起こりそうな要素を、ファシリテーターは紐解いていく必要があります。 それらが正しく衝突するために、議題が持っている方向性をあら

          ファシリテーションを考える